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ルクセンブルク経済・金融情勢 2007年12月

 

【主要トピック】

・ インフレ率は12月末日現在3.36%を記録。2000年以降で最も高い値に達した。

・ サブプライム問題の影響:ルクセンブルク金融セクターへの米サブプライム問題のインパクトはいまだ不透明であ
 るが、全く影響が無かったと言うことは出来まい。第3四半期の銀行の業績は、前四半期比で大きく落ち込んでい
 る(メルシュBCL(ルクセンブルク中央銀行)総裁による2008年年始のコメント)。

 

1.産業セクター

(1)工業製品価格の値上がりは、2006年末から2007年初頭に掛けて著しい。これは主に鉄鋼製品及び非金
   属鉱物価格の上昇によるものである。

(2)食糧品価格及び設備投資器具に対し新たなインフレ圧力が生じているが、これらが工業製品全体に占める比
   重は大きくないため、影響も相対的に限られていると言える。

 

2.建築セクター

(1)2007年第3四半期の建築許可数は前年同期比40%のマイナスとなっている。

(2)2006年第3四半期は多くの大規模建築が計画されていたことから例外的な好結果を得た時期であったこと
   を考慮に入れても、40%のマイナスという数字は平均的な成長率を15%も下回るものである。

 

3.金融セクター

(1)銀行資産残高は11月末9,403億ユーロになり、前月比0.34%増加(CSSF公表値)。

(2)BI&A銀行の撤退により、ルクセンブルクに置かれている銀行数は、156行となった。

(3)投資信託残高は、11月末2兆0,637億ユーロ、前月比2.81%の大幅な減少となった(CSSF公表値)。

(4)これは一方で、米サブプライム問題及びインフレの加速による経済の停滞から、株式市場の変動性が増加し
   たことが挙げられる。株式に投資している投資信託は評価額が前月比5.57%減少している。他方、債券市場
   が安定しているにも関わらず、米ドルの価値の低下が債権に投資している投資信託に影響を与え、評価額は前
   月比0.95%減少している(CSSF公表値)。

 

4.雇用情勢 (金融セクター)

(1)4万人が金融セクターに於いて働いており、ルクセンブルクにおける雇用全体の13%を占めるに至っている
   (2007年末日現在)。

(2)特に投資ファンド関連業務における専門性の高い人員不足が深刻であり、500のオファーに対して200の求
   職者しか居ない状況にある。2007年11月1日以降、東欧8か国(エストニア、ハンガリー、ラトヴィア、リトアニ
   ア、ポーランド、チェコ、スロバキア、スロベニア)に対する雇用市場の開放がこれを解決するものと見られてい
   る。

(3)金融セクターにおける被雇用者の国籍別割合は、27%がフランス人、24%がルクセンブルク人、20%ベル
   ギー人、14%ドイツ人となっており、全体の半分がルクセンブルク外に居住している越境労働者である。

 

5.インフレ

(1)2007年第1~3四半期のインフレ率は2%で推移してきたところ、第4四半期になって遂に3%に達した。12
   月末日現在の数字は3.36%となっている。

(2)これは主に原油価格の上昇によるところが大きい。原油価格は第4四半期になって前四半期比13%も上昇し
   ている。

(3)原油価格が1バレル当たり93.5ドル、1ユーロ1.47ドルとして試算すると、2007年のインフレ率は
   2.3%、2008年には3%に達するものと予想されている(STATEC公表値)。

(4)メルシュBCL(ルクセンブルク中央銀行)総裁は、『インフレ率の上昇は、大部分の産業が国際競争に晒されて
   いるルクセンブルクにとって高くつくものであると同時に、特に弊害を齎すものである。』とコメントしている。

 

 

*ルクセンブルク政府発表(政府公報(統計局・雇用局))や、各種報道などの公開情報を取りまとめたものです。

 

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