≪ルクセンブルク中央銀行(BCL)2011年第3回マクロ経済報告≫

 

1.インフレ

2010年に既に進行していたインフレは,2011年になっても続き,2011年1月~10月期の当国基準消費者物価指数増加率は3.4%であった。7月に一時的に2.9%に低下したが,年率では3.2%~3.7%の間という高い水準で推移した。このようなインフレ率の上昇は,エネルギー製品のインフレ率が2010年に10%以上となり2011年になっても高止まりしていることと,エネルギー価格以外のインフレが2010年半ばから加速していることから生じている。食料品価格は農産物市場の取引価格高騰を受けて値上がりしている。非エネルギー工業製品価格のインフレが加速しているのは,エネルギー価格の上昇,需要の回復,賃金の上昇が間接的に影響している。サービス価格は主に賃金の上昇等を受けて上昇している。当国ではインフレが近隣諸国よりも進んでいる。

 

2.雇用・失業

(1)失業率は今年初頭には微減傾向にあったが,4月以降また上昇傾向にある。2011年10月の季節調整済失業率は6.0%となっている。雇用局(ADEM)の登録求職者数は7月に特に増加した。雇用状況の悪化に伴い,失業率の上昇と失業期間の長期化に伴い失業者が求職意欲を削がれている一方で,これまで働いていなかった主婦などが家計のために働きに出ようとしたり,学業を終えた若者が景気停滞に鑑み通常より早く就職活動を始めたりする等の影響が生じている。

(2)部分的失業は次第に減少しているが,2011年4月以降この制度の重要性が見直されている。最新のデータによると,2011年12月の企業による申請数は32件である(前月は28件)。部分的失業制度を利用する従業員は2011年12月で2494人であり,2010年9月以降でもっとも多くなっている。政府は部分的失業の特別措置を2012年末まで延長することを決めている。

 

3.工業

2011年1-9月期の工業生産は非常に不調であった。一日あたりの工業生産は前年に比べ2011年第1四半期で大きく減速し,第2四半期,第3四半期では減少に転じた。部門別で見ると,2011年第3四半期には中間財及び製鉄製品を除く全ての生産部門で生産は減少している。2011年9月の当国における工業生産は2008年8月に比べ14%減少した。

 

4.建設

建設セクターは工業セクターに比べ2008年,2009年は比較的堅調だったが,2010年に落ち込んだ。2011年1~2月は好調であったが,3月には停滞した。2010年の住宅建築許可数は3551件で,戸建て住宅が32.9%増,集合住宅が11.7%減となった。2011年前半の建築許可合計件数は1886件で,2010年の同時期よりも15%増加しているなど住宅関連が好調である。

 

5.金融

2011年9月30日現在の金融機関従業員数は2万6,809人で,同年6月30日に比べ656人増加している。1年前の2010年9月30日と比較すると2.2%の増加となった。銀行数は2010年10月末から2011年10月末までの1年間で146から142行に減少している。

 

6.経済成長率

2011年10月時点の推計はこれまでよりも悲観的なものであリ,2010年の経済成長率は2.7%である。2011年第2四半期における経済成長率は,前年同期比+1.9%,前期比+0.3%と推計されている。

 

(詳細はルクセンブルク中央銀行HP(www.bcl.lu)内マクロ経済報告をご参照ください。)

 

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