トップページ政治経済政治経済アーカイブ>四半期の動き 2004年第3四半期

 

ルクセンブルク情勢(2004年第3四半期7-9月)

1.概況

【日・ルクセンブルク関係】

●真鍋参議院議員(日・ルクセンブルク友好議連会長)がルクセンブルクを訪問。同訪問中に、アンリ大公殿下拝謁、アッセルボルン新副首相兼外務・移民大臣、ヴァイラー国民議会議長表敬、議会外交委員会(ファイヨ委員長を含む)との意見交換を行った。

●国連総会のマージンで日・EUトロイカ外相会議が開催され、アッセルボルン外相が次期議長国外相として参加し、川口外相と会談・意見交換を行った。

【内政】

●6月13日に実施された総選挙結果を受けて、引き続きジャン・クロード・ユンカー首相の続投が確定。選挙で第2党となった社会労働党(POSL)との約一か月半の連立交渉を経て、新内閣が7月31日に発足。副首相兼外相はPOSL党首のジャン・アッセルボルンが担当することとなった。

【外交】

●7月からは、EUにおける次期議長国として各種トロイカの枠組みに参画。2001年以来3年ぶりの日・EUトロイカ外相会議(国連総会のマージン)にもアッセルボルン新副首相兼外相が出席。

●来年のEU議長国の助走期間として、アッセルボルン副首相兼外相は、ドイツ、ベルギー、オランダ、フランス等との積極的な接触を開始し、EU議長国間の重要課題について意見交換を精力的に行っている。

●11月1日より発足するバローゾ新委員長の下での欧州委員会に、ルクセンブルクからはレディング委員が再度委員として参画することとなった。なお、今回は、情報社会・視聴覚政策・メディア経済を担当する(プローディの下では、教育・文化・若者・メディア・スポーツを担当)。

●ユンカー首相がユーロ・グループにおいて来年1月1日から2年の任期にて同グループ常任議長に選出され、いわゆる「ミスター・ユーロ」と称されることとなった。

●2005年前半の議長国就任に向けて引き続き精力的に外交活動を展開している。

【経済】

●インフレ率:7月1日現在で2.4%、8月1日現在で2.4%。

●失業率:7月の失業率は4.0%、8月の失業率は4.1%となり、上昇基調にある。

●人間開発指数:UNDPの2003年報告書において、ルクセンブルクは第3位に位置づけられた。

●銀行資産高:6月30日現在6846億ユーロに対し、7月30日現在6826億ユーロ、8月30日6764億ユーロと減少傾向にある。

 

2.主要トピック

(1)新内閣発足(7月31日)

 6月13日の総選挙、翌14日の組閣役(ユンカー首相)の任命の後、キリスト社会党(PCS)と社会労働党(POSL)の間で連立交渉を詰めてきた結果、7月29日17時半、ユンカー首相、フランソワ・ビルツェンPCS党首、ジャン・アッセルボルンPOSL党首の間で連立協定に署名するに至った。同署名を受けて、翌30日には両党それぞれの臨時党大会が開催され、閣僚等の承認手続きを経て、31日午前、コルマー・ベルグ城(アンリ大公殿下居城)にてアンリ大公殿下による新閣僚の任命と新閣僚による宣誓式が執り行われた。今次内閣は、総選挙の結果も反映され、PCSのプレゼンスが強化された形となった(PCS9閣僚に対し、POSLは6閣僚)

(2)ルクセンブルクのEU議長国準備

(陣容)

 新内閣において、アッセルボルン新副首相兼外務・移民大臣が就任し、シュミット前EU常駐代表が外務・移民担当大臣(欧州担当)に着任、同担当大臣は、副大臣として、多忙を極めることとなる大臣を補佐する環境を整えた。(ルクセンブルク政府公表サイト及び当地新聞報道等より)

(主要課題)

 6議長国にまたがるマルチ・アニュアル・プログラムに従っており、ルクセンブルクの議長国下においては、2007-2013年の中期予算計画の政治的合意、リスボン戦略の中間評価、安定成長協定の改革、EU拡大(ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、トルコ)等が主要課題となる見込み。(ルクセンブルク政府公表サイトより)

(3)ユンカー首相のユーロ・グループ常任議長就任決定

 9月10日に開催されたユーロ・グループ蔵相会議において、これまで輪番制であった同グループ議長(ユーロ参加国であるEU議長国が担当してきた)に代わり、2005年1月1日から任期2年の常任議長を設けることとなり、初代常任議長としてユンカー首相が選出された。(ルクセンブルク政府公表サイトより)

(4)ルクセンブルク解放60周年記念式典の開催

 本年は、第2次世界大戦下の米国軍によるルクセンブルクの解放から60周年を迎え、関連の記念式典等が実施された。9月10日には、政府主催での公式記念式典が、米軍戦没者墓地(Hamm)における記念式典、ルクセンブルク大聖堂における統一ミサ、ギヨーム広場における軍事式典等が行われ、アンリ大公殿等、同国要人、外交団他が出席した。

 また、大公殿下の9月の訪米時にも(後述)、解放に尽力した米国及び米国兵士に対して謝意を表明している。(ルクセンブルク政府公表サイトより)

(5)アンリ大公・同妃両殿下の訪米

 9月13日から15日の日程にて、アンリ大公・同妃両殿下は訪米し、主にワシントンとニューヨークを訪問した。同訪問には、アッセルボルン副首相兼外務・移民大臣、クレッケ経済・貿易大臣が同行。

 同ミッションは、経済的行事(セミナー等)に参加した他、改装を終えた在米ルクセンブルク大使館のリオープニング・セレモニーを行い、記念プレートの除幕式を行った。同除幕式に際し、(大戦時、シャルロット女大公殿下が家族と米国に避難した経緯もあり)米国のルクセンブルク解放への謝意と両国の連帯の強さについてアンリ大公殿下より述べられた。

 同行程にてアッセルボルン外相とパウエル国務長官間の会談も実現し、来るルクセンブルクEU議長国等について意見交換を行った。

 また、15日には、ニューヨークにてアンリ大公殿下及びアッセルボルン外相がアナン国連事務総長に迎えられ、意見交換を行った。(ルクセンブルク政府公表サイトより)

(6)日・EUトロイカ外相会議(アッセルボルン副首相兼外相の参加)

 9月20日、国連総会のマージンで開催された日・EUトロイカ外相会議(2001年来、3年ぶり)に、ルクセンブルク次期議長国外相としてアッセルボルン副首相兼外相が参加し、ボット・オランダ外相他と共に、川口外務大臣と協議を行った。

3.主な出来事(ルクセンブルク政府公表サイト、当地報道等による)

(1)政治分野

【7月】

 1日 連立交渉の開始(キリスト教社会党と社会労働党)。

13日 臨時国民議会の招集。49新議員による宣誓式。

29日 連立協定への署名(キリスト教社会党と社会労働党)。

31日 連立内閣の成立。

【8月】

 2日 各省庁において新旧大臣の事務引き継ぎ。

 4日 国民議会において、ユンカー首相による施政方針演説。

(2)外交・安全保障分野

【7月】

10日 アンリ大公殿下、クレスティル・オーストリア大統領の葬儀に出席(ゲーレンス国防大臣同行)

19日 フリーデン法相、EU司法・内務理事会へ出席。

21日 2005年ルクセンブルク議長国の「ロゴ」を公表。

22日 ユンカー首相、バローゾの欧州委員会委員長への指名を歓迎。

26日 ゲーレンス国防大臣、ブリュッセルでのEU特別外相理事会に出席。

【8月】

26日 アッセルボルン副首相兼外相、フィッシャー・ドイツ外相と会談

31日 アッセルボルン外相、ボット・オランダ外相と会談

【9月】

 1日 アッセルボルン外相、デ・フフト・ベルギー外相を実務訪問

13-14 シュミット外務・移民担当大臣、EU総務・対外関係理出席(ブリュッセル)

15日 シュミット外務・移民担当大臣、欧州議会を実務訪問。

20-24 アッセルボルン外相、国連総会にて、日・EUトロイカ外相会談他に出席

23,24日 クレッケ経済大臣、ビルツェン労働・文化大臣、モデール文化・高等教育・研究担当大臣がEU競争理事会に参加

27日 アッセルボルン外相、国連総会にて一般演説

27-30日 サンパイオ・ポルトガル大統領の国賓訪問

(3)経済分野

【7月】

 3日 ヘラルド・トリビューン紙上に、オランダ、ルクセンブルク、英国の3つの連続したEU議長国の経済大臣等によって、リスボン戦略の再活性化についての宣言が掲載された。

 5日 ECOFIN、ユーログループ蔵相会合にユンカー首相が出席。ユーログループ会合にて常任議長について議論。

27日 ABBL(ルクセンブルク銀行協会)会長のティール氏が退き、後継にロメ氏が決まった(8月1日より)。

【9月】

 2日 ルクセンブルク全土にわたり過去40年来最大規模の停電(30分)(ドイツからの供給停止による)。

 9日 2005年度国家予算について、政府部内での協議を開始。

10日 ユンカー首相、クレッケ経済相、ECOFIN及びユーログループ会合に出席、ユンカー首相がユーログループ初代常任議長に選出される(2005年1月1日から2年間)。

22日 欧州ノーカーデー。公共交通機関が無料サービス。

23日 STATEC(ルクセンブルク統計局)による2003年旅行統計発表(昨年の訪ルク旅行者は、約86万人)。

27日 ギヨーム王子及びクレッケ経済・貿易大臣、経済ミッションにて北米訪問。

30日 政府開発協力2003年度報告書公表。同実績は、GNI比0.81%の水準。

(4)大公室・社会

【7月】

13日 ギヨーム殿下(アンリ大公殿下の弟君)に第4子誕生。

【8月】

20~9月6日 第664回Scheberfour (ルクセンブルク市内最大の縁日・移動遊園地)。

(5)日・ルクセンブルク関係

【9月】

6-9日 真鍋賢二日・ルクセンブルク友好議連会長のルクセンブルク訪問。

(アンリ大公殿下拝謁、ヴァイラー国民議会議長表敬、アッセルボルン外相表敬、ファイヨ外交委員長他との意見交換)

20日 国連総会マージンで開催された、日・EUトロイカ外相協議に次期議長国としてアッセルボルン外相が出席。
 

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