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ルクセンブルク情勢(2005年第1四半期1-3月) |
1.概況 |
【日・ルクセンブルク関係】 ●1月10日のジョゼフィーヌ=シャルロット(前)大公妃殿下の薨去(こうきょ)に際し、秋篠宮同妃両殿下がルクセンブルクを訪問、葬儀に参列された。 ●1月19日、小野寺外務大臣政務官が日・EU市民交流年公式オープニング事業への参加のためルクセンブルクを訪問。同機会を捉え、ヴァイラー国民議会議長、シュミット外務担当大臣と意見交換を行った。 【内政】 ●EU議長国に入り、EU関連業務に重点が置かれた。 【外交・EU議長国】 ●ルクセンブルクは、1月1日から6月30日までEU議長国を務めており、外交面においては、EU議長国関連活動が中心的となった。なお、ルクセンブルクとして、欧州憲法条約が発効すれば1国で単独で行うEU議長国はこれで最後となる見込み。 ●今次EU議長国の冒頭1月は、スマトラ沖津波及び地震被害の対応、そして引き続くジョゼフィーヌ・シャルロット(前)大公妃殿下の薨去が重なり、かなり負荷のかかるスタートとなった。 ●EU議長国としての第1四半期の目玉は、3月22、23日に開催された春の欧州理事会(EUの首脳会議)である。同欧州理では、今次議長国の3大課題と目されている①安定成長協定の改革、②リスボン戦略の中間見直し、③EU中期財政枠組(2007-2013年)の政治的合意の内、①と②を消化することが予定され、それぞれにつき困難と言われた面も多々あったが、議長国として纏め上げ、合意に至った。 【経済】 ●インフレ率:1月1日現在で2.0%、2月1日現在で、2.2%、3月1日現在で2.4%となり、上昇基調にある。 ●失業率:1月の失業率は4.7%、2月の失業率は4.7%、3月の失業率は4.6%となり、横ばい傾向にある。 ●銀行資産高:1月31日現在7087億ユーロに対し、2月28日現在7170億ユーロ、3月31日現在7151億ユーロと、均衡状態にある。 ●投資信託資産高:1月31日現在、1兆1466億ユーロ、2月28日現在1兆1792億ユーロ、3月31日現在、1兆1940億ユーロと相変わらず増加傾向にある。 |
2.主要トピック (1)ジョゼフィーヌ・シャルロット(前)大公妃殿下の薨去 1月10日、現アンリ大公殿下の母親であり、現アルベールII世(ベルギー国王)の姉に当たるジョゼフィーヌ=シャルロット(前)大公妃殿下が薨去された。 我が国からは、秋篠宮同妃両殿下がルクセンブルクを訪問、15日にルクセンブルク大聖堂で執り行われた葬儀に参列された。 故ジョゼフィーヌ=シャルロット大公妃殿下は、戦争の辛い時期を乗り越え、ベルギー王室よりジャン大公(当時皇太子)殿下のもとへ嫁いだ経緯がある。 また、国民からも深く敬愛されていた。大公家は、同薨去から6週間の喪に服した。 <参考:主な参列者> (ルクセンブルク大公国)ジャン(前)大公殿下、アンリ大公・マリア・テレザ同妃両殿下、ギヨーム皇太子殿下他、(ベルギー王国)アルベール二世国王・パオラ王妃両陛下、ファビオラ前王妃陛下、フィリップ皇太子・マチルド同妃両殿下、アストリッド王女・ロレンツ大公両殿下並びにローラン王子・クレール同妃両殿下、(デンマーク王国)マルグリーテ二世女王陛下及びベネディクテ王女殿下、(スウェーデン王国)カール十六世グスタフ国王・シルヴィア=レナーテ・ゾンメラート王妃両陛下、(オランダ王国)ベアトリックス女王陛下、(スペイン)ソフィア王妃陛下、(ノルウェー王国)ソニア王妃陛下、(モナコ公国)アルベール皇太子殿下、(リヒテンシュタイン公国)アロイス皇太子・ゾフィー同妃両殿下、(英国)ヨーク公アンドリュー王子殿下、(モロッコ王国)ラシッド王子殿下、(ヨルダン・ハシェミット王国)ハッサン王子・ラーニア同妃両殿下。
(2)小野寺大臣政務官のルクセンブルク訪問 1月19日、20日、小野寺大臣政務官は、ルクセンブルクを訪問し、2005年日・EU市民交流年のグランド・オープニングにおける我が国の政府の代表として、ルクセンブルクEU議長国におけるオープニング事業に参加した。また、同訪問の機会をとらえて、ヴァイラー国民議会議長を表敬訪問した他、シュミット外務・移民担当大臣とも会談を行い、日・ルクセンブルク関係、日・EU関係について意見交換を行った。 (同模様は、ルクセンブルク政府サイト:http://www.gouvernement.lu/salle_presse/actualite/2005/01/19schmit_onodera/index.html、及び、外務省ホームページhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/seimu/onodera/2005_j_eu/gh.htmlにて参照可能。)
(3)ポルファー前外相(現欧州議会議員)の地方選挙出馬表明 ポルファー(Lydie POLFER)前副首相兼外相(民主党で、前回の総選挙で連立から外れ、現在は欧州議会議員)が、本年10月9日に予定されている地方選挙(ルクセンブルク市長)に出馬を表明した(民主党筆頭候補として1月20日に開催された記者会見において公表されたもの)。ポルファー前外相は、本人自身も中央政界に出馬するまで18年間にわたってルクセンブルク市長を務めてきており、同父親もルクセンブルク市長であった。 ポルファー前外相は、欧州議会議員と市長職の兼務は問題ないとの見解を表明しており、欧州議会議員を辞任する意思はないことを示している。
(4)EU議長国 ●1月1日より6月30日までの6か月間、輪番制による欧州理事会の議長(議長国)を務める。今次議長国は、第12回目を数え、一国で担当する議長国として最後、ルクセンブルクにとっては、25か国体制における初めての議長国となった。 ●1月の議長国期間入りに際しては、スマトラ島沖津波及び地震被害の対応があり、単なる人道支援的側面だけでなく、実際に同地域にレジャーやビジネスで訪問していた欧州人が多数被害にあっていることから、同被害への積極的関与を余儀なくされた。なお、議長国として、同問題に積極的に対応し、特にこれを身元(被害者・遺体)確認等との関係で欧州の司法・内務分野の課題として、また、将来的な同分野における課題として対応した。 【春の欧州理事会】第1四半期における議長国の最重要行事は春の欧州理事会であり、議長国の全体運営方針として、1月から3月にかけては、同理事会にて取り上げる安定成長協定の改革とリスボン戦略の中間見直しに集中し、もう一つの重要課題である2007-2013年中期財政枠組の政治的合意については、3月の理事会以降に本格的に取り組むとの方針にて臨んだ。 【リスボン戦略の中間見直し】議長国は、同方針に従って、1月から3月にかけては、安定成長協定とリスボン戦略についての協議・調整を中心に展開し、リスボン戦略に係る各分野についての調整を各閣僚理事会等で積み上げた。 ●また、ユンカー首相も自ら陣頭指揮をとり、欧州委員会等のイニシアティブの流れとして従来の経済・社会+雇用・環境を中心要素とする立場から経済成長と雇用の2本柱に集約させようとしたのに対して、ルクセンブルク議長国は、社会的側面と環境的側面は、はずすことはできないとの立場を維持し、最終的にそれぞれを読み込める形で、玉虫色の妥協案を纏めることとなった。 【安定成長協定の改革】安定成長協定についても、経済循環等へのアジャストや各国の状況の勘案等大きな論点があったものの、ユンカー首相が、欧州理直前の週末に非公式ユーログループ会合を招集し、そこで合意を取り付けることに成功し、22-23日の欧州理事会自体では、ユーログループでの合意を採択し、予定より早く協議を終了した。
3.主な出来事 (ルクセンブルク政府公式サイトに掲載の主要な出来事等を参照・引用したもの:ルクセンブルク政府公報部の許可により掲載しているものです。) (1)政治 【1月】 24日 ・ユンカー首相、第8回グランド・レジョン・サミットに出席。 【2月】 24日 ・レジスタンスの日、キャンプ開放60周年記念日。
(2)外交・安全保障・EU議長国 【1月】 2日 ・シルツ協力大臣、ミシェル欧州委員と共に、スマトラ島沖地震及び津波被害について、スリランカを訪問。 5日 ・スマトラ島沖地震及び津波被害に際し黙祷を捧げる。 7日 ・議長国として、スマトラ島沖地震及び津波被害の対策に関し、特別EU対外関係理事会を招集。 10日 ・欧州委員会の議長国訪問。 11日 ・フリーデン法相のマドリッド公式実務訪問。 ・ユンカー首相が欧州議会において議長国のプログラムを紹介。 ・シルツ協力大臣、ジュネーブのドナー会議に参加。 13日 ・ユンカー首相、欧州中央銀行の理事会に参加 17日 ・ユンカー首相、EU経済・財務相理事会(ECOFIN)及びユーログループの議長を務める。 ・ルックス環境大臣、環境理事会において議長国の優先課題について説明。 ・ビルツェン大臣、モデール長官から文化分野に係る議長国優先課題について、欧州議会文化・教育委員会に対して説明。 18日 ・アッセルボルン外相、欧州議会外交委員会にて議長国の優先課題について説明。 19-20日 ・アッセルボルン外相、中東(イスラエル、パレスチナ)を訪問。 19日 ・小野寺外務大臣政務官、日・EU市民交流年オープニングのため、ルクセンブルクを訪問。シュミット外務・移民担当大臣、ヴァイラー国民議会議長と会談 19日 ・シュミット担当大臣、パキスタン貿易担当大臣と会談。 ・ユンカー首相、ストリューブUNICE理事他と会談。 18-20日 ・ハルスドルフ内務大臣、神戸にて開催された国連防災会議に参加。 21日 ・ユンカー首相、独シュレーダー首相と会談(於ベルリン)。 22日 ・デルボー・ステレス教育大臣は、パリで開催された「欧州・アジア」非公式欧州大臣会合に出席。 23日 ・フリーデン法相は、議長国代表として、ユーシチェンコ・ウクライナ新大統領任命式典に参加。 24日 ・ヤコブス機会均等大臣、欧州議会(ブリュッセル)にて男女平等についての議長国優先課題について説明。 ・シュミット担当大臣、イタリアを公式実務訪問。 25日 ・ペターシェン・ノルウェー外相がルクセンブルクを公式実務訪問、アッセルボルンと会談。 ・コスタ国連薬物犯罪防止オフィス事務局長(UNODC)のルクセンブルク訪問。 ・シュピドラ雇用担当欧州委員のルクセンブルク訪問、ビルツェン労働大臣と会談。 26日 ・ユンカー首相、欧州議会党首会議と会談(於ブリュッセル・ルクセンブルク・ハウス) 27日 ・フリーデン法相、司法・内務分野における優先課題についてプレスに対し説明。 ・ユンカー首相及びビルツェン労働大臣、モンクス欧州労連代表と会談。 28日 ・キントス・デレス大統領府顧問を代表とするフィリピン代表団がルクセンブルクを公式実務訪問、シュミット外務担当大臣と会談。 31日 ・サナデール・クロアチア首相、ルクセンブルクを訪問、ユンカー首相と会談。 31-2月4日 ・フリーデン法相兼国防相、米国を公式実務訪問、ラムズフェルド国防長官と会談。 31日 ・ユーロパスの導入。 【2月】 1日 ・セクス・クロアチア議会議長、ルクセンブルクを訪問、ユンカー首相と会談。 2、3日 ・北京+10 2日 ・ボーデン農業大臣及びモデール長官、欧州議会にて漁業について議長国優先課題について説明。 ・ウィズラー公務員相ポーランドを訪問。 3日 ・ボンネウィーク・ノルウェー首相、ルクセンブルクを公式実務訪問、ユンカー首相と会談。 4、5日 ・ユンカー首相、ロンドンにおけるG7会合に参加。 ・ユンカー首相、ブレア首相と会談。 ・ヤコブス大臣、北京+10閣僚会合に参加。 7日 ・ユンカー首相、シラク大統領と会談(パリ) ・シュミット外務担当大臣、オランダ(ハーグ)を訪問。 9日 ・ビルツェン労働大臣、欧州社会経済委員会にて議長国優先課題を説明。 ・シュミット外務担当大臣、NATOの非公式ワーキングランチに参加(於ブリュッセルNATO本部) ・アッセルボルン外相、ラブロフ・ロシア外相と会談(於モスクワ)。 9日 ・ライス米国務長官がルクセンブルクを訪問、ユンカー首相、アッセルボルン外相と会談。EU・米トロイカ閣僚会合を開催。 10日 ・フリーデン国防相、NATO国防相会合に参加(ニース)。 ・Lainezエルサルバドル外相の公式実務訪問 ・ユンカー首相、リスボン戦略の中間見直しの関係で、欧州産業円卓会議、社会問題プラットフォーム、欧州環境ビューローと会談。 11日 ・フリーデン法相、ドイツを公式実務訪問(ベルリン)。 ・デル・ポンテ旧ユーゴ国際刑事裁判所首席検事のルクセンブルク訪問、ユンカー首相と会談。 14日 ・ユンカー首相及びビルツェン労働大臣は、第7回国際労働機関欧州地域会議に参加。 15日 ・ハラズィ・イラン外相のルクセンブルク訪問、シュミット外務担当大臣と会談。 16日 ・シュミット外務担当大臣、スペインを公式実務訪問。 ・京都議定書の発効に際し、ルックス環境大臣他、共同記者会見を行う。(於ブリュッセル) 17日 ・デンマーク外務担当大臣(Carsten Sondergaad)のルクセンブルク訪問。 ・モデール長官、宇宙協力に係る国際会議に参加。 17-18日 ・「将来の大学」に係るASEF主催のシンポジウム開催。 18日 ・ミュラー・チェコ外相がルクセンブルクを公式実務訪問。 ・シャバング・スワジランド副首相のルクセンブルク訪問。 ・アブルゲイト・エジプト外相がルクセンブルクを公式実務訪問。 22日 ・ブッシュ大統領のEU機関・NATO訪問(ブリュッセル) 24-25日 ・ビルツェン労働大臣、オーストリアを訪問(インスブルック) 28日 ・シュミット外務担当大臣、トルコを公式実務訪問。 ・パパドプロス・キプロス共和国大統領のルクセンブルク公式実務訪問。 ・EU・ロシア・トロイカ閣僚会議。 【3月】 1日 ・ユンカー首相、ザルム・オランダ蔵相と会談(於ルクセンブルク)。 ・ヒュブネル地域政策担当欧州委員のルクセンブルク訪問。 ・アッセルボルン、中東和平会議に参加(ロンドン)。 2日 ・議長国として、ユンカー首相、アッセルボルン外相がアッバース・パレスチナ長官と会談(ブリュッセル)。 3日 ・シュミット外務担当大臣、ブリュッセルで開催されたリスボン戦略の会議に参加。 7日 ・ダニエルソン・スウェーデン首相府長官の公式実務訪問。 8日 ・シュミット外務担当大臣、ロック・キューバ外相と会談。 10日 ・アッセルボルン外相、ジャカルタで開催されたEU・ASEAN閣僚会合に参加、共同議長を務める。 ・インドネシア・EUトロイカ閣僚会合を開催。 ・テロに関する国際会議の開催(マドリッド)。 ・グランド・レジョンの2007欧州文化首都の公式ロゴの発表。 11日 ・ユンカー首相、ベルルスコーニ首相と会談(ローマ)。 13日 ・ユンカー首相、公式実務訪問のバルケネンデ・オランダ首相と会談。 14日 ・アッセルボルン外相、ジュネーブの国連人権委員会に参加。 ・シルツ協力大臣、国際人権円卓会議の議長を務める。 16日 ・ユンカー首相、欧州議会にてリスボン戦略についてスピーチを行う。 17日 ・カラマンリス・ギリシャ首相の公式実務訪問 ・李肇星中国外交部長のルクセンブルク公式実務訪問、ユンカー首相、アッセルボルン外相と会談。 20日 ・ユンカー首相、欧州理事会を前に、非公式ユーログループ会合を招集し、安定成長協定の改革案を合意。 21日 ・ユンカー首相、バローゾ欧州委員会委員長、ソラナCFSP上級代表と会談。 22-23日 ・春の欧州理事会(ブリュッセル)にて、安定成長協定の改革、リスボン戦略の中間見直しに合意。 24日 ・アッセルボルン外相、スロベニアを公式実務訪問。 30日 ・ユンカー首相他EUの代表等、非公式に世銀代表候補のウォルフォウィッツ氏と会談。 ・アッセルボルン外相、ウクライナを訪問。 31日 ・アッセルボルン外相、ルクセンブルクを公式実務訪問したイスラミ・アルバニア外相と会談。
(3)経済 【1月】 21日 ・TDKレコーディング・メディア・ヨーロッパ社が200-230人の人員削減を発表 24日 ・クレッケ経済大臣、シルツ通信大臣、米国を訪問。 【2月】 1日 ・携帯電話の番号ポータビリティサービス開始。 16日 ・統計局(Statec)が、2004年第3四半期景況報告を公表。 ・京都議定書発効。 25日 ・たばこ規制枠組条約発効(但し、ルクセンブルクは批准していない) 【3月】 26日 ・TDKレコーディング・メディア・ヨーロッパ社の人員削減計画に伴うソーシャル・プランに労使が署名(123人が職を失うことに) 28日 ・クレッケ経済大臣、経済ミッションを率いて、インドを訪問の後、4月4日から日本を訪問。 【2~3月】 ・アルセロール、SESグローバル等の2004年決算が発表され、各社とも概ね好調な業績。
(4)大公室・社会 【1月】 5日 ・ジャン(前)大公殿下の84歳の誕生日。 10日 ・ジョゼフィーヌ・シャルロット(前)大公妃殿下が薨去。 12日 ・ルクセンブルク市内の上水道汚染の可能性により数日間の飲用警戒が公表された。 15日 ・故ジョゼフィーヌ・シャルロット(前)大公妃殿下の葬儀(秋篠宮同妃両殿下参列)。 【3月】 22日 ・マリア・テレザ大公妃殿下の誕生日。 23日 ・2004年犯罪統計発表。
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