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ルクセンブルク情勢(2005年第2四半期4-6月) |
1.概況 |
【小泉総理のルクセンブルク訪問】 ●5月1日・2日、小泉総理が現職総理として初めてルクセンブルクを訪問。ユンカー首相との二国間首脳会談を行った他、第14回日・EU定期首脳協議を行った。同訪問に際し、到着日の1日には、アンリ大公主催夕食会に招かれた(於大公宮)。 【日・EUトロイカ外相協議】 ●京都にて開催されたASEM外相会合のマージンにて、5月6日、アッセルボルン副首相兼外相、ヴァルトナー対外関係欧州委員、町村大臣の間で日・EUトロイカ外相協議が開催され、直前に実施された日・EU定期首脳協議、国連改革、中東問題等について意見交換を行った。 【第7回ASEM外相会合(FMM7)】 ●5月6、7日、京都にてASEM第7回外相会合が開催され、アッセルボルン副首相兼外相が参加した。 【内政】 ●ルクセンブルクのEU議長国後半となり、ほぼEU議長国一色の状況。 【外交・EU議長国】 ●EU議長国の後半となり、ルクセンブルク外交は、EU議長国としてのものに内包される。議長国前半にも増して、域外関係でも充実。日本の他、ロシア(5月10日)、カナダ(6月19日)、米国(6月20日)との首脳会談を実施した。 ●4月25日、ルクセンブルクにおいて、ルーマニアとブルガリアのEU加盟条約への署名式が実施された。 ●6月2日、シェンゲン協定20周年記念行事をシェンゲンにて開催。 ●フランス、オランダにおける国民投票における欧州憲法条約の否決を受け、欧州憲法条約批准手続きの行方が課題として浮上、2006年~2013年の中期予算枠組と並び、6月の欧州理事会の主要課題となった。同理事会の結果、批准手続きについては、継続することとなった。なお、中期予算枠組については、ユンカー議長が最大限の妥協を模索したものの結実せず、目標としていた政治的合意に至らなかった、次期議長国(英国)以降への継続課題となった。 【経済】 ●インフレ率: 4月1日現在で2.4%、5月1日現在で、2.5%、6月1日現在で2.4%となり、横ばい傾向にある。 ●失業率: 4月の失業率は4.6%、5月の失業率は4.5%、6月の失業率は4.4%となり、減少傾向にある。 ●銀行資産高:4月30日現在7250億ユーロに対し、5月31日現在7339億ユーロ、6月30日現在7465億ユーロと、増加傾向にある。 ●投資信託資産高:4月30日現在、1兆1971億ユーロ、5月31日現在1兆2474億ユーロ、6月30日現在、1兆2900億ユーロと相変わらず増加傾向にある。 |
2.主要トピック (1)第14回日・EU定期首脳協議、日・ルクセンブルク首脳会談 ●小泉総理一行は、アジア訪問を経て、政府専用機にて5月1日の夕刻、ルクセンブルクに到着し、同日は、市中における歓迎式典、ユンカー首相の案内による旧市街散策の後、大公宮にてアンリ大公殿下主催による夕食会に参加した。翌日の2日は、ゼニンゲン城(政府迎賓館)において日・ルクセンブルク首脳会談の後、会場をキエム国際会議場(通常EUの閣僚理事会を行っている会議場)に移し、日・EU定期首脳協議を開催。同協議終了後、同会議場内記者会見場にて共同記者会見を行い、引き続きセットフォンテーヌ城(ヴィルロワ・ボッホ陶磁器メーカーのゲストハウスで、政府要人間の行事にも用いられている)にてワーキング・ランチを行い、滞在日程を了した。 ●日・ルクセンブルク首脳協議においては、日・EU市民交流年の下での二国間文化交流に対する評価等につき意見交換を行った他、大公室・皇室間をはじめとする良好な二国間関係の益々の発展につき確認した。
また、日・EU定期首脳協議では、基本的な価値観や多くの政策分野での共通性を基盤として、戦略的なパートナーシップの強化の方向性を確認すると共に、ロシア、中国、対イラク支援やエネルギー、環境問題等の重要な国際的課題につき極めて有意義な意見交換を行った。 【対外関係】 第2四半期についても、EU議長国を務めている関係もあり、対外関係は、基本的にEU議長国関係一色となっている。 日本とのサミットの他、続いてモスクワ戦勝60周年式典に引き続き、5月10日にEU・ロシアサミットが開催され、4つの共通空間を創設するためのロードマップを採択、EU・ロシア・パートナーシップ協力協定(PCA)の扱い、国際情勢等の課題について協議を行った。 6月19日には、カナダ(Niagara-on-the-Lake)にてEU・カナダサミットを実施し、経済パートナーシップの強化、効果的な多国間主義等につき協議を行った。
同翌日の20日には、米国とのサミットをワシントンのホワイトハウスにて行い、ブッシュ大統領との間で、国際関係(中東、アフガニスタン、中国、イラン、イラク、ウクライナ、グルジア、バルカン、テロとの闘い、ダルフール情勢)や経済関係等について意見交換を行った。
4月25日、ルクセンブルク市、ノイミュンスター寺院(多目的催し物会場)にて、バセウク・ルーマニア大統領、パルヴァノフ・ブルガリア大統領がルーマニア、ブルガリアを代表し、EUからは、ユンカー首相、バローゾ欧州委員会委員長、ボレル欧州議会議長、そして25加盟国の代表が集い、EU加盟条約への署名式典を行った。これにより2007年1月1日に正式に2か国がEU加盟を果たし、EUは27か国となる見込みとなっている。(ルクセンブルクは従来より両国との関係が深く、両国のEU加盟について積極的な役割を果たしてきた。) ●6月16日、17日にブリュッセルで欧州理事会が開催された。同欧州理事会は、2005年前半のルクセンブルク議長国期間を総括し、次期議長国(英国)への橋渡しの意味も有するが、ルクセンブルク議長国は、同議長国期間中の3大課題の内、安定成長協定の改革、リスボン戦略の中間見直しについては3月の欧州理において既に片づけており、政治的により調整を必要とするEUの2007~2013年の中期財政枠組について後半の欧州理において政治的合意まで達成しようと考えていた。しかしながら、5月末からのフランスとオランダの連続した欧州憲法条約批准にかかる国民投票の否決を受けて、同条約の批准問題についても重い議題として取り上げざるを得なくなってしまい、欧州理初日には、欧州憲法条約のそれ以降の批准手続きについて協議を行った。各国首脳は、当初批准スケジュールは達成できないとしつつも、十分な国民との対話を確保しながら、批准プロセスを継続するという方向性を示すに至った。
●当初より、目玉となっていたEUの中期財政計画については、5月末から10日間前後、欧州理に向けて、連日ユンカー首相の下で各国首脳がルクセンブルクを訪れ、個別協議を行ったが、同協議の後の感触として既に予想された以上に、英国のリベート問題、共通農業政策予算問題、そして新規加盟国等との関係でデリケートな地域政策予算問題、オランダの過支払い問題等が複雑にからみ、欧州理当日もユンカー首相をはじめ妥協案をぎりぎりまで模索したものの、最終的には合意に至らず、交渉失敗という結果になった。ルクセンブルク議長国としては、前半の欧州理に引き続き、ユンカー首相の指導力・調整力を持って、ある程度の前向きな結果を想像していたかも知れないが、後半の欧州理は、同議長国の能力を超えて、複雑な加盟国間の利害関係が浮き彫りになった。(なお、前回の中期財政枠組み(AGENDA2000)交渉においても開始年ぎりぎりまで交渉は遅延した経緯があり(地域政策の支出等、遅延の影響はあった。)、今回の政治的合意のタイミングはスムーズなEU予算運営上、理想的ではあるが、加盟国が納得するまで交渉するという意味において、デッドラインとの認識まではもたれていない模様。) ユンカー首相は、6月16日の欧州理においてはEU議長国全体の立場として、欧州理以降の欧州憲法条約批准手続きの継続を示唆しつつ、批准手続きを未了の加盟国においては、国民との関係において、熟考の時間を十分にとる必要があるとした。 一方で、7月10日に既に予定されていた自国の国民投票については、国民議会の判断に全面的に任せ、関与しないとの意思を表明した。 その後、6月17日に開催された各政党の代表による会合では、年金党を除く全ての党の一致により予定どおり国民投票を実施することが内々合意され、21日の国民議会本会議において、賛成多数にて、7月10日の開催の維持について採択した。 手続きに基づき、6月28日には、国民投票に先立ち、国民議会において、欧州憲法条約批准に係る法案についての投票が行われ、全会一致(年金党5議席が欠席したため。)にて可決された。
それ以降は、7月10日の国民投票(承認された)を経て、3か月の期間をおいて実施される第2回投票を経て、ルクセンブルクにおける批准手続きを了する。 (1)政治 【4月】 12日 ・国民議会において、欧州憲法条約の批准に係る国民投票の実施についての法案を前回一致にて採択。 【5月】 27日 ・警察協力強化協定への署名(ベネルクス、フランス、ドイツ、オーストリア、スペイン) 【6月】
28日 ・国民議会による、欧州憲法条約批准に係る第1回目投票の実施(全会一致にて、承認。)。 【4月】 1日 ・Minoves Triquellアンドラ外相のルクセンブルク実務訪問。 2日 ・ヨハネ・パウロII世の逝去に際し、哀悼の意を表す(ユンカー首相)。 5日 ・アッセルボルン外相、バーレーンで開催された、第15回EU・GCC閣僚会合において共同議長を務める。 ・フリーデン予算相、議長国として、欧州委員会、欧州議会との間で開催されたEU予算に係る三者会議に参加。 8日 ・アンリ大公同妃両殿下及びユンカー首相、ヨハネ・パウロII世の葬儀に参列。 11日 ・ユンカー首相、Bulent Arincトルコ議会議長と会談。 ・アッセルボルン外相、EU・アフリカ・トロイカ外相会合に参加。 13日 ・ユンカー首相、3月の欧州理の結果を欧州議会に報告。 15,16日 ・EU非公式外相理事会。 15日 ・G7へ参加のユンカー首相、ブッシュ大統領と会談。 18日 ・アッセルボルン外相、ポルトガルを公式実務訪問。 18日 ・シルツ開発相、マリを実務訪問。 19日 ・ユンカー首相、Jean-Claude Can Cauwenbergheワロン地域政府首相と会談。 20日 ・アッセルボルン外相、NATO非公式会合に出席(於リトアニア) 20日 ・モデール文化・教育担当長官、アレキサンドリアにて行われたAnna Lindh欧州・地中海基金の創設式に参加。 ・ユンカー首相、ジスカール・デスタン元仏大統領と会談。 ・ユンカー首相、コール元独首相と会談。 25日 ・ルーマニア、ブルガリアのEU加盟条約への署名式(於ルクセンブルク) 26日 ・欧州憲法条約冊子(全文)の無料配布。 ・ユンカー首相、Ivo Sanaderクロアチア首相と会談。 【5月】 1~2日 ・小泉総理の実務訪問。 2~3日 ・フリーデン法相のスイス、リヒテンシュタイン実務訪問。 5日 ・クレッケ経済相、OECD閣僚理に参加。 6、7日 ・アッセルボルン外相、ASEM外相会合、日・EUトロイカ閣僚会合に参加。 8日 ・連合軍戦勝60周年記念式典の開催。大公同妃両殿下が参列。 9、10日 ・ユンカー首相、モスクワでの第二次世界大戦終戦記念60周年記念式典に参加。 10日 ・モスクワにてEU・ロシア首脳会談を実施、ユンカー首相、アッセルボルン副首相兼外相が出席。 11日 ・大公殿下、欧州議会にてスピーチを行う。 11,12日・アッセルボルン外相、北京で開催されたEU・中国トロイカ閣僚会合に出席。 27日 ・ユンカー首相、フランスにおける欧州憲法条約に係る国民投票における否決を受けてのコメントを発出。 【6月】 1日 ・ユンカー首相、オランダにおける欧州憲法条約に係る国民投票における否決を受けてのコメントを発出。 2日 ・アッセルボルン外相、ワシントンにてライス国務長官と会談。 ・シェンゲン協定締結20周年記念式典開催。 3日 ・ユンカー首相、欧州憲法条約に係る国民投票で否決された場合には首相職を辞職すると発言。 9日 ・第50回市長デー。ハルスドルフ大臣が3000人未満の市町村の合併を提唱。 10日 ・ダライ・ラマ14世訪問。政府関係者とは面会せず。 16,17日 ・欧州理事会(ブリュッセル) 19日 ・EU・カナダ首脳会談(Niagara-on the Lake) 20日 ・EU・米首脳会談(ワシントン) 22日 ・イラク支援国際会議(ブリュッセル)において、アッセルボルン外相が共同議長を務める。 ・ユンカー首相、議長国の総括を欧州議会にて述べる。 23日 ・アッセルボルン外相、ロンドンにおける中東和平会議に参加。 24日 ・アッセルボルン外相、Herard Abrahamハイチ外相と会談(於ルクセンブルク)
29日 ・EU議長国を記念して、ヨーロッパ広場に25か国の木を植樹。 (3)経済 【4月】 (28~)2日 ・クレッケ経済大臣、経済ミッションにてインドを訪問。 3~6日 ・クレッケ経済大臣、経済ミッションにて日本を訪問、中川経産大臣と会談した他、ルクセンブルクに所在する日系企業の3社の代表を訪問、意見交換を行った。 12日 ・クレッケ経済大臣、リスボン戦略に係るシンポジウムに参加。 20日 ・競争に係る三者協議を開催。 【5月】 4日 ・欧州宇宙機関への参加決定。 6日 ・当国の喫煙率33%、昨年のたばこ税収5700万ユーロ。 10日 ・2004年度決算は7120万ユーロの黒字。 14日 ・2004年のGDP成長率は4.5%。 20日 ・当国の競争力は第10位(1位アメリカ、21位日本:世界競争力年鑑) ・男女平等順位は第26位(1位スウェーデン、38位日本:世界経済フォーラム) 23~25日 ・クレッケ経済大臣、イスラエルへ経済ミッション。 30~4日 ・第11回欧州小国競技大会(於アンドラ)に参加。 【6月】 2日 ・2004年の輸出金額は、前年比35%増。中東欧向けが顕著な伸び。 9日 ・オンブズマン年次報告。約1200件受理、約900件審査終了、約400件につき行政に是正を求める。 ・国会でIWC加盟が採択。 14日 ・国鉄の2004年度決算。改善したものの30万ユーロの赤字。 16日 ・盲導犬がスーパーマーケット、レストランに入ることが可能に。 ・年間のゴミ料金は1家族当たり年間200ユーロ強 18日 ・三井物産がルクセンブルク証券取引所での上場廃止決定(8月の予定)。 20日 ・23日頃、オキシダント濃度のピーク(記録更新)。 20~24日 ・IWC総会に初めて参加。反捕鯨の立場。 22日 ・UNICEFルクセンブルクが津波被害者のために1400万ユーロ送金。
25日~27日 ・クレッケ経済大臣、ASEM経済大臣会合に参加(中国)。 【4月】 16日 ・大公殿下50歳の誕生日。 【6月】 3日 ・フェリックス王子21歳の誕生日。 15日 ・大公・大公妃両殿下がプレスをガーデン・パーティーに招待。
23日 ・国際日
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