トップページ政治経済政治経済アーカイブ>四半期の動き 2005年第4四半期

 

ルクセンブルク情勢(2005年第4四半期10-12月)

1.概況

【内政:地方統一選挙】
●10月9日地方統一選挙を実施。特に、首都であるルクセンブルク市が注目されたが、第1党である民主党のヘルミンガー市長が堅実な得票にて再当選。初めて緑の党が市政上、民主党との連立に参加。
【EU:トルコ加盟交渉開始(クロアチア加盟交渉開始)】
●10月2日~3日に開催されたEU総務・対外関係理事会において、EUとトルコ、EUとクロアチアの加盟交渉が開始された。
【欧州憲法条約国内批准手続きの完了】
●10月25日、国民議会において、規定に従い第2回の投票を行い、賛成多数(57対1)にて承認、国内批准手続きを了した。
【経済】
●インフレ率: 10月1日現在で3.1%、11月1日現在で2.5%、12月1日現在で2.5%となり、上昇傾向から横ばい傾向にある。
●失業率: 10月の失業率は4.8%、11月の失業率は4.9%、12月の失業率は5.0%となり、上昇傾向にある。
●銀行資産高:10月31日現在7,823億ユーロに対し、11月30日現在7,871億ユーロと、増加傾向にある。(12月分に関しては未公表)
●投資信託資産高:10月31日現在、1兆4,139億ユーロ、11月30日現在1兆4,745億ユーロ、12月30日現在、1兆5,252億ユーロと相変わらず増加傾向にある。

 

2.主要トピック
(1)(EU関係)トルコ及びクロアチアのEU加盟交渉開始
●10月3日、EU総務・対外関係理事会(於ルクセンブルク)が、EUのトルコとの加盟交渉開始を予定して開催された。なお、EU25か国内で加盟交渉開始の条件となる交渉枠組みに係る調整が難航し、直前の2日も調整の為臨時会合が招集されたがほぼ平行線を辿り、(注:04年12月の欧州理事会のマンデートに基づく加盟交渉開始日である)3日の当日の調整も難航を極めた。EU内だけでなく、トルコ側との調整についても難航し、同日の夜遅くにようやく交渉枠組みに合意するに至り、ほぼ予定どおり加盟交渉を開始するに至った。

 4日早朝、ストロー外相、レーン拡大担当欧州委員、ギュル・トルコ外相による共同記者会見が実施され、当初予定どおり3日(厳密には4日早朝であったが、ストロー外相は、英国議長国時間で3日に予定どおりと発言)に加盟交渉を開始した旨発表。

 (なお、加盟交渉開始に先立ち、交渉枠組み(ペーパー)への合意がなされない内は、トルコ側代表団は会場入りをしないとして、アンカラにて待機。EUとトルコの間で合意が成立後、トルコ側代表団は、アンカラを出発し、24時過ぎ会場入り。政府間会合にてEU25か国とトルコの間で加盟交渉の開始に至った。)

●トルコ加盟交渉開始の共同記者会見直後にクロアチアの加盟交渉に係るタスク・フォースを開催、そのまま加盟交渉の開始を行った。

(2)地方統一選挙の実施

【全般】

 10月9日、116のコミューンについて選挙が実施され、即日開票された。全体的な傾向としては、民主党が全般的に後退傾向。南部(鉄鋼産業関係地域)においては、社会労働党が牙城を維持。キリスト教社会党は、国政では揺るぎない第一党であるが、地方選においては、一部のコミューンでの善戦を除き、特筆すべきものでは無い。緑の党が一般的に伸張。共産党は、各地で後退。

【ルクセンブルク市】

●それまで第1党であった民主党は、引き続き第1党を維持。民主党内では、元市長で前外相であるポルファー欧州議会議員の出馬、民主党候補者リスト筆頭やヘルミンガー前市長、その他有力者が多数出馬していたため去就が注目されたが、ヘルミンガー前市長が善戦し、大差をつけ、信任を得た形で当選を果たした。他方ポルファー議員については、ここ1年間の活動も的が絞りきれず、結果として民主党内でも3位の得票に留まった。

●第1党の民主党は、それまでのキリスト教社会党との連立を選択せず、躍進した緑の党との連立交渉を選択。その時点でキリスト教社会党は、野党を選択する旨宣言し、その結果、市政上初の民主党=緑の党連立政権が誕生することとなった。同連立交渉を経て、ヘルミンガー市長の再任、緑の党党首であるバウシュ氏の筆頭助役就任が決まった。

(3)施政方針演説

(特に欧州憲法条約に係る議論の前提として)欧州について、国民の間で十分に議論が尽くされなければならないとした。また、外国人のルクセンブルク社会への統合について触れられた。経済面では、物価スライド制賃金システムが聖域ではなく、指標の計算根拠や上限設定等について議論すべきであると問題を提起した。更に、これまでの主幹産業である金融セクターだけでなく、経済多様化についても触れられた。この他、研究、エネルギー、公共輸送、国土整備、住宅供給、雇用そして財政問題について触れている。

(4)欧州憲法条約批准手続きの完了
 10月25日、ルクセンブルクの国民議会は、憲法上の規定に基づき、欧州憲法条約の批准に係る法案に対する第2回目の投票を実施し、賛成多数(57対1、棄権無し)にて可決され、ルクセンブルクにおける批准手続きを実質的に了した。

3.主な出来事
(1)政治
【10月】
 9日 ・地方統一選挙実施。
11日 ・通常国会開会。
12日 ・ユンカー首相の施政方針演説(於国民議会)。
19日 ・2006年予算案の提出(国民議会)。
27日 ・フィッシュバッハ・オンブズマン報告(初)を国民議会に提出。
【12月】
28日 ・国民議会において、2006年予算案を採択(38対22)

(2)外交・安全保障・EU
【10月】
 3日 ・ユンカー首相、サナデール・クロアチア首相と会談。
 3-4日・ルクセンブルク=カーボ・ベルデ第7回パートナーシップ委員会開催。
 4日 ・アッセルボルン外相、UNESCO理事会出席。
    ・ユンカー首相、シュミット外務担当大臣、ヨーロピアン・ボイス紙による今年の人に選出。
5-6日・ユンカー首相、ECB理事会において、カラマンリス・ギリシア首相と会談。
11-13日 ・大公同妃両殿下のブルガリア国賓訪問。
12日 ・グテレス国連難民高等弁務官のルクセンブルク実務訪問。
13日 ・アッセルボルン外相のウクライナ実務訪問。
17日 ・マロビッチ・セルビア・モンテネグロ大統領のルクセンブルク公式実務訪問。
18-19日 ・アッセルボルン外相、トルコ実務訪問。
19日 ・ヤンシャ・スロベニア首相のルクセンブルク実務訪問。
24-25日 ・アッセルボルン外相、フィンランド、リトアニア実務訪問。
24-25日 ・ユンカー首相、シラク仏大統領と会談(エリゼ宮)
25日 ・国民議会において、欧州憲法条約の第2回承認手続きを完了。
27日 ・ユンカー首相、EUハンプトン・コート非公式首脳会議(英国)に参加。
【11月】
9-11日 ・マリ大統領のルクセンブルク国賓訪問。
11日 ・アッセルボルン外相、ナイジェリアを実務訪問。
14日 ・ネベス・カーボ・ベルデ大統領のルクセンブルク訪問。
17日 ・ユンカー首相、シュレーダー独首相と会談(於ルクセンブルク)。
21日 ・ユンカー首相、メルケル次期独首相と会談(於ベルリン)。
29日 ・ヨーロピアン・ボイス紙により、ユンカー首相が「今年の欧州の人」に選出される。
    ・アッセルボルン外相による外交演説(於国民議会)
30日 ・第4回ベルギー=ルクセンブルク定期サミットの開催(於ヴァル・デュシェス)
【12月】
 1日 ・アッセルボルン外相、プラスニック・オーストリア外相と会談(於ルクセンブルク)
 7日 ・アッセルボルン外相、EU中期財政計画に係るコンクラーベに参加
 8日 ・グランド・レジョン欧州文化首都の事前キャンペーンを実施。
10日 ・ユンカー首相、シャルルマーニュ賞を受賞確定(表彰は、5月25日を予定)

(3)経済
【10月】
 1日 ・物価上昇に伴う賃金等の物価スライド(2.5%)実施
 3日 ・ティウフFAO事務局長訪問
14-15日 ・石川ルクセンブルグ協会の主催により「いしかわ物産フェア」開催(於ケンプフ・コーラー)
17-21日 ・皇太子殿下をヘッド、クレッケ経済大臣他、米国及びカナダへ経済ミッション
【11月】
14日 ・みずほ信託銀行が25人の人員削減を計画と報道
19-24日  ・アラブ首長国連邦及びヨルダンへの経済ミッション(大公殿下、アッセルボルン外相(ヨルダンのみ)、フリーデン大臣、クレッケ大臣)
24日 ・帝人・デュポン・フィルム社が環境対策賞受賞。
25日 ・通算3頭目のBSE牛確認。
【12月】
2-3日 ・ユンカー首相、ロンドンG7会合に参加
15日  ・大公殿下、クレッケ経済大臣、AOL社屋を訪問。
5-9日 ・シルツ大臣、セネガル訪問
6-10日 ・クレッケ大臣、韓国訪問
21日  ・国会で貯蓄課税法案が可決

(4)大公室・社会
【10月】
 6日 ・ユーロ・バロメーター:ルクセンブルクは、欧州で最も欧州派が多いとの結果。
31日 ・モデール教育庁長官、向井千秋氏と会談(科学技術シンポジウムにて)
【12月】
24日 ・大公殿下によるクリスマス・メッセージ
 

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