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ルクセンブルク情勢(2006年第4四半期10-12月)

1.概況

【内政】

●与党第一党であるCSV(キリスト教社会党)全国大会が開催され、ビルツェン議員(雇用・労働大臣)の党首留任、シルツ議員(開発協力・人道援助大臣)に替わってシャンク議員が幹事長に就任することが決定した。また、ユンカー首相は、2009年総選挙後も首相を続投するという意思を表明した。

●アッセルボルン副首相兼外務・移民大臣は、外交方針演説を行い、欧州統合を中核に、多国間主義的外交を展開する方針を表明した。

【EU】

●欧州委員会は、先般国家補助に当たるとして違法の判断を下した1929年持株会社法の代替としてルクセンブルクが提案したスキーム、SPF(Société de Patrimoine Familial:家族資産管理会社)を承認した。

●10月16~17日に開催されたEU総務・対外関係理事会にて、10月9日に北朝鮮が実施した核実験を非難する北朝鮮に関する結論文書が採択された。

【経済】

●10月23~28日、フリーデン国庫・予算大臣は、ルクセンブルク金融市場への参入を促進する目的で、ALFI(ルクセンブルク投資信託協会)幹部及びABBL(ルクセンブルク銀行協会)と共に、日本、韓国、香港を訪問。東京で開催されたセミナーには、同協会ピカール広報部長によれば、ルクセンブルク国外でのセミナーとしては最大規模の参加者を記録。

●1929年持株会社法の廃止を決定。代替スキームに関する法案を国民議会に提出。

●4月に実施された政労使三者協議の結果を踏まえ、最低賃金の引上げを決定。

●若年失業者に関する法案を採択。なお同法案には、当初若年失業者に対し失業後すぐに給付される手当の廃止が含まれていたが、学生の抗議行動を受けて、廃止を見送るとともに、若者の雇用市場への早期統合を促進するための措置を導入するとの修正が行われた上で採択されたもの。

●インフレ率: 10月1日現在で1.5%、11月1日現在で、2.0%、12月1日現在で2.3%となり、上昇傾向にある。

●失業率: 10月の失業率は4.5%、11月の失業率は4.6%、12月の失業率は4.8%となり、上昇傾向にある。

●銀行資産高: 10月8,514億ユーロ、11月8,363億ユーロ

●投資信託資産高: 10月1兆7,811億ユーロ、11月1,799億ユーロ

 

 

2.主要トピック

(1)アッセルボルン副首相兼外務・移民大臣による外交方針演説
 11月21日に行われた外交方針演説において、アッセルボルン外相は、欧州統合を中核に、ルクセンブルクの外交政策が重点を置く課題として、平和、安全保障、貧困との戦い、開発援助、民主主義の維持、人権及び持続可能な発展を約束することを挙げた。同様に、国際的責任を全うする意識及び多国間主義的アプローチを重視する旨が表明された。この観点から、バルカン情勢、ウクライナ、ロシア、中国、コソボ・セルビア、中東、イラン、北朝鮮、更には、EU・アメリカ関係、NATO、欧州評議会の位置づけ、WTOについて言及した。

(2)EU総務・対外関係理事会にて北朝鮮関連結論文書を採択
 10月16~17日のEU総務・対外関係理事会にて、北朝鮮による核実験実施が非難され、安保理決議1718及び1695の履行に向けたEUの取り組みが再確認された。

(3)1929年持株会社法の廃止と代替スキームの提案
 10月末、欧州委員会は、先般違法の判断を下した1929年持株会社法の代替スキームとしてルクセンブルクが提案していたSPF(家族資産管理会社)を承認した。これを受けて政府は、11月20日、家族資産管理会社に関する法案(法案第5637号)を国民議会に提出した。なお、12月13日、1929年持株会社法の廃止が決定された。

(4)フリーデン国庫・予算大臣の訪日
 10月23日及び24日、フリーデン国庫・予算大臣は、ALFI(ルクセンブルク投資信託協会)及びABBL(ルクセンブルク銀行協会)の幹部と共に日本を訪問した。同大臣は、日本に続けて韓国、香港を訪問した。
 本ミッションの目的は、金融商品(特にヘッジ・ファンド及び不動産ファンド)を紹介し、管理会社及びアジアの販売会社に対して、ルクセンブルクに投資信託を登録することの重要性とその可能性を説明すること、及び、規制当局との関係を密にし、ルクセンブルクの厳格な規制枠組に対する理解を深めることにあった。
山本金融担当大臣との会談では、双方の金融情勢及びアルセロール・ミタル社の合併に関するルクセンブルク政府の役割に関して意見交換が行われた。

 また、23日に東京で開催されたALFI主催のセミナーにおいて、フリーデン大臣は、北朝鮮による核実験に対するルクセンブルク政府の立場に言及した。

(5)最低賃金の引き上げに関する法案の採択
 4月の政労使三者協議の結論に従い、2007年1月1日より、最低賃金を1.9%引き上げ、非熟練労働者については1570.28ユーロ、熟練労働者については1884.34ユーロとすることを決定した。ルクセンブルクは、欧州各国の中でも最も高い最低賃金額となっている。

(6)若年失業者手当に関する法案
 政労使三者協議における合意に基づき、若年失業者に対する手当に関する改正法案第5611号が国民議会に提出されたところ、失業状態になってすぐに受領することの出来た失業手当の廃止に関して、学生より反対の議論が沸きあがった。ビルツェン雇用・労働大臣はこれに対して法案の修正を提案したが、11月17日にデモ・ストライキが実施された。これを受けて、論点となっていた上記手当の廃止の見送りと、若者の雇用市場への早期統合を促進するための措置の導入を新たに盛り込んだ修正法案が、12月20日、国民議会において採択された。

3.主な出来事
(1)政治
【10月】
10日 通常国会開会(2006年~2007年度)

12日 ユンカー首相、フランス学士院「倫理及び政治科学アカデミー」準外国人会員に選出

22日 CSV(キリスト教社会党)全国大会開催

30日 ユンカー首相、ヨーロッパ大学大学院にて講演「ヨーロッパに欠かせないもの」(於ベルギー・ブルージュ)、カトリック大会合にて講演「ヨーロッパが直面する全ての局面」

【11月】
8日 若年失業者手当てに関する改正法案第5611号に反対する議論が沸き起こり、ビルツェン労働・雇用大臣は法案の一部撤回を表明

13日 ウィズラー公務員・行政改革大臣兼公共事業大臣のイニシアティブの下、公共行政改革に関する意見交換を目的とした公共機関・公共サービスで働く局長レベル初会合が開催

17日 法案第5611号に反対する学生によるデモの実施

21日 アッセルボルン副首相兼外務・移民大臣による外交政策に関する施政方針演説

27日 改築が完了した国家諮問院において、国家諮問院設立150周年記念式典が開催。大公同妃両殿下、ギヨーム皇太子、列席。フリーデン法務大臣、ヴァイラー国民議会議長が演説。

【12月】
11日 ユンカー首相がルクセンブルク大学に於いて、『混迷するヨーロッパ』と題する講演

20日 法案第5611号が国民議会にて採択

(2)外交・安全保障・EU
【10月】
5日 アッセルボルン外相、リヒテンシュタイン訪問(二国間協力、EU・リヒテンシュタイン関係、国連改革について意見交換)

9日 ユンカー首相、サルコジ仏内相と欧州情勢について会談

10日 アッセルボルン外相、スロベニア及びアルバニア実務訪問(EU拡大、欧州の将来、国際情勢、バルカン情勢、核不拡散問題について意見交換)

10日 EU結束政策の予算使途決定

12日 シュミット外務担当大臣、ロンドン実務訪問。Geoff Hoon・EU相とEU憲法条約について意見交換

16~17日 EU総務・対外関係理事会開催(於ルクセンブルク)

18日 Mihai-Razvanルーマニア外相実務訪問(EU加盟問題、2007年文化年での協力)

18日 リヒテンシュタイン外相兼文化、家族、平等担当大臣実務訪問。シルツ開発協力大臣とマイクロ・ファイナンスについて、ヤコブ大臣と家族政策について、モデルトと会談、大公殿下と謁見

19~20日 Thomas Boni Yaniベニン大統領実務訪問(二国間関係、国際政治情勢)

20日 ユンカー首相、EU非公式会合出席(於Lahti)

26日 ブルガリア・農林大臣、ルクセンブルク訪問

【11月】
7日 シルツ開発協力・人道援助大臣、ベルリン訪問(2007年前期のドイツEU議長国での争点)

8日 シュミット外務担当大臣、ストックホルム実務訪問。マルム・ストロームEU相と会談(EU拡大及び欧州憲法プロセスなど欧州情勢全般)

9日 アッセルボルン外相、ヘルシンキ訪問、トゥオミオヤ・フィンランド外相兼EU議長国議長と会談

9日 ユンカー首相、フランス上院に招待。「EUの現状」と題する演説を行う

13~14日 アッセルボルン外相、シュミット外務担当大臣、シルツ国防大臣、EU総務・対外関係理事会に出席(於ブリュッセル)

14日 メルケル独首相、ルクセンブルク公式実務訪問。ユンカー首相とEU議長国としての優先課題、欧州情勢、国際重要課題について意見交換。メルケル首相は「2006年欧州の展望」(Vision for Europe)賞を受賞、歴代9人目

14日 Ali Babacan・トルコ経済大臣、ルクセンブルク公式訪問。ユンカー首相及びシュミット外務担当大臣とEU・トルコ関係、特にEU加盟問題について意見交換

15日 シュミット外務担当大臣、マドリッド訪問。Alberto NavarroEU担当長官とEU情勢、特に憲法条約について会談

16日 Heinz Fischer・オーストリア大統領、ルクセンブルク訪問

16日 Leila Shahid・パレスチナEU使節(deleguee generale de Palestine aupres de EU)、ルクセンブルク訪問。シュミット外務担当大臣、ヘルミンガー・ルクセンブルク市長と中東和平について会談

22日 シュミット外務担当大臣、移民・開発に関する欧州・アフリカ閣僚会議に出席(於トリポリ)

23日 アッセルボルン外相、ベルリン実務訪問(二国間関係、ドイツEU議長国下の課題、エネルギー政策、露・中央アジア関係)

24日 スワジ王国首相、ルクセンブルク訪問(二国間関係、EU・スワジ関係、EU・アフリカ関係)

28日 ユンカー首相、アッセルボルン外相、シルツ開発・人道援助大臣、NATOサミット出席(於リガ)

29日 シュミット外務担当大臣、IOM理事会出席(於ジュネーブ)

30日 ルイ・ミッシェル欧州委員会委員(開発・人道援助担当)、ルクセンブルク訪問(開発・人道援助に係る欧州情勢、国際情勢)

【12月】
1日 アッセルボルン外相、ベルン訪問。「中東におけるEUの役割」と題する演説を行う。

4日 アッセルボルン外相、第14回OSCE外相理事会出席(於ブリュッセル)

5日 ユンカー首相、ナザルバエフ・カザフスタン大統領と会談(エネルギー政策に関するEU・カザフスタン協力、政治改革、経済発展)

5日 シュミット外務担当大臣、ボレル欧州議会議長と会談(憲法条約、改革プロセス)

5~7日 大公同妃両殿下の招聘により、ラトビア共和国大統領の公式訪問(電子行政担当相同伴)

7日 マケドニア首相訪問、ユンカー首相と会談(マケドニア共和国の政情、バルカン問題、コソボの将来等について)

7~8日 アッセルボルン外相、欧州社会党会合に出席(於ポルト)。ルイス・アマド・ポルトガル外務次官と会談(2007年後半のポルトガルEU議長国について)

11~12日 アッセルボルン外相、シュミット外務担当大臣、EU総務・対外関係理事会出席(於ブリュッセル)

12日 ユンカー首相、Peter Medgyessy元ハンガリー大統領と会談(欧州政治情勢、国際政治情勢)

14~15日 ユンカー首相、アッセルボルン外相、欧州理事会出席(於ブリュッセル)

(3)経済
【10月】
2日 ルクセンブルク・モロッコ社会保障協定が署名

4日 AOLヨーロッパ(本社ルクセンブルク)が仏・独のインターネット事業の売却を発表。欧州委員会が乳製品の生産割当の超過に対する制裁金を確定(ルクセンブルク分は88万6千ユーロ)

5日 2006-2010 HIV/AIDS行動計画を発表。2005年の当国の新規感染者は63人

5日 ユンカー首相、ECB理事会に出席(於パリ)

9日 WFP事務局長訪問。ルクセンブルク政府との覚書に署名

9日 ユンカー首相、クレッケ経済大臣、ユーロ・グループ会合、経済・財務相理事会に出席

11日 2007年度予算案提出

17日 2005年の貧困率は13%(2003年11.3%)。単身者で月1423ユーロ未満の者が貧困層に属する。

19日 ルクセンブルクの肥満率は18.4%(米国30.6%、日本3.2%(OECD調べ)。

21日 建設業者のCarlo Giorgetti社が経営破綻し、300人の従業員が失業。

23~26日 フリーデン国庫・予算大臣、日本・韓国・香港へ投資信託促進ミッション日本へは23~24日に訪問。

28日 クレッケ経済大臣、アラブ首長国連邦・経済大臣と会談(二国間経済関係)(於ドバイ)

30~11月4日 中東(バーレーン、カタール、クウェート)への経済ミッション(アンリ大公、クレッケ経済・通商大臣他)

31日 欧州委員会は、1929年持株会社法に代替するスキームとなるSPF(家族資産管理会社)を承認

【11月】
5日 アルセロール・ミタル社ユンク氏はCEO職を辞任し、後任としてミタル取締役会会長が兼任することを決定

6日 ユンカー首相、クレッケ経済大臣、ユーロ・グループ会合、経済・財務相理事会に出席

6日 ユンカー首相、UNICE(欧州産業連盟)会長及び事務局長と会談(欧州経済情勢、ユーロ・ゾーンにおける経済ガバナンス、EUの将来)

8日 ユンカー首相、ベルギー・ルクセンブルク商工会議所・KBC銀行・KBLパリ主催の昼食会に出席(「前進する欧州と躊躇する欧州」がテーマ)

9日 Gurria・OECD事務局長、ルクセンブルク公式訪問(ルクセンブルク及びEUの経済情勢)

10日 ディ=バルトロメオ保健大臣、ジュネーブ訪問。(ルクセンブルク議長国時に立ち上げた)「患者の安全に対する世界的な挑戦」のイニシアティブ1周年式典に参加。チャン新WHO事務局長、マリの保健大臣と会談。

11~17日 米国への経済ミッション(ギヨーム皇太子、クレッケ経済・通商大臣他)

20日 1929年持株会社法に替わるものとしてSPF(家族資産管理会社)に関する法案が国民議会に提出された。

22日 欧州議会経済通貨委員会におけるユンカー・ユーログループ議長による定期報告

24日 シルツ開発援助・人道支援大臣、エチオピア訪問(マイクロ・ファイナンス)。エチオピア首相、コナレ・アフリカ連合委員長と会談

27日 ユンカー首相、クレッケ経済大臣、ユーロ・グループ会合、経済・財務相理事会に出席(於ブリュッセル)

27日 ロペス・エルサルバドル副大統領、ルクセンブルク訪問

29日 欧州委員会はルクセンブルクの温室効果ガス排出計画に合意

30日 欧州マイクロ・ファイナンス賞授賞式にミッシェル欧州委員訪問

【12月】
1日 賃金の物価スライド(2.5%)実施

4日 クレッケ経済大臣、競争力委員会に出席

4日 シルツ開発・人道援助大臣、ニカラグア・ルクセンブルク開発協力プログラム2007~2010年に署名

7日 ユンカー首相、ECB理事会出席(於フランクフルト)

11日 クレッケ経済大臣、ウクライナ訪問。ウクライナ経済大臣、工業政策大臣と会談

13日 経済省主催の持続的発展に関するセミナーの実施

13日 1929年持株会社法の廃止に関する法案が国民議会にて採択

13日 ルクセンブルク中央銀行(BCL)は2006年下半期マクロ経済報告を公表

18日 トンネルの安全基準に関する欧州指令(2004/54/CE)の国内法化を発表

19日 ルクセンブルクの鉄鋼を使ったニューヨークのフリーダム・タワーの着工

20日 最低賃金の引き上げに関する法案が国民議会にて採択

(4)大公室・社会
【10月】
10日 ルクセンブルク大学と政府の間で4ヵ年計画(2006~2009)に署名

11日 ルクセンブルク・フランス国境付近(フランス側)で列車衝突事故発生し6人が死亡。

22~23日 大公殿下、ハンガリー訪問(革命50周年)

【11月】
11日 ギヨーム皇太子、25歳の誕生日


【12月】
9日 欧州文化首都グランド・オープニング式典

19日 モデールト文化長官、文化の多様性を記念する式典に出席(於ブリュッセル)

24日 大公殿下によるクリスマス・メッセージ
 

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