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ルクセンブルク情勢(2007年第4四半期10-12月)

.概況

【内政】

リスボン条約について国民議会へ説明:10月23日、ユンカー首相が来年の国内批准作業を視野にリスボン条約について国民議会へ説明、理解と賛同を求めた。

所得税額表の改定と子女手当の一括支給の実施:12月23日、国民議会が08年1月からの所得税額表の改定及び子女手当(ボーナス支給)に関する法案を可決。

 

【外交】

●外相による外交演説:11月13日、アッセルボルン副首相兼外務・移民大臣が国民議会にて外交演説。EU、リスボン条約、アフガン及びコソボ情勢、アフリカ開発等について言及した。

リスボン条約に署名:12月13日、ユンカー首相がリスボン条約署名式に参加した(於リスボン)

 

【EU】

欧州議会経済通貨委員会においてユンカー・ユーログループ議長が定期報告:11月20日、欧州議会経済通貨委員会においてユンカー・ユーログループ議長より、ユーロゾーンの経済情勢及び加盟国の財政状況に関する定期報告が行われた。ユーロ圏の経済成長率を07年2.6%、08年2.2%と予想。

12月3~4日にブリュッセルにて開催されたEU財務相理事会において、VAT法制パッケージ案のうち、B2C(一般消費者向けサービス)に対する課税地指令の改正に関して、従来よりルクセンブルクは反対を表明していたが、合意が形成された。

 

【経済】

シルツ開発・人道援助大臣兼コミュニケーション大臣兼国防大臣が日本及びアジア諸国を歴訪:10月10~20日、シルツ大臣が日本及びアジアにおける開発援助対象国であるベトナム、ラオス両国を歴訪。

2008年3月1日よりの賃金の物価スライド実施が決定された。

インフレ率: 10月1日現在で2.9%、11月1日現在で、3.2%、12月1日現在で3.4%となり、上昇傾向にある。

失業率: 10月の失業率は4.3%、11月の失業率は4.4%、12月の失業率は4.4%となり、横ばい傾向にある。

銀行資産高: 10月9,371億ユーロ、11月9,403億ユーロ、12月8,395億ユーロ。

●投資信託資産高: 10月2兆1,235億ユーロ、11月2兆0,637億ユーロ、12月2兆0593億ユーロ

 

.主要トピック

(1)フリーデン国庫・予算大臣、2008年予算政府案を国会に提出

10月10日、フリーデン国庫・予算大臣は、08年予算政府案を国民議会に提出。総額84億3800万ユーロ(約1兆4180億円。前年比7.6%増)の歳入に対して、歳出は84億5800万ユーロ(約1兆4210億円。前年比5.3%増)

 

(2)シルツ開発・人道援助大臣兼コミュニケーション大臣兼国防大臣、日本及びアジアにおける開発援助対象国であるベトナム、ラオス両国を歴訪(10月10日~20日)

ベトナムではグエン・タン・ズン首相等と、ラオスではブアソーン・ブッパーヴァン首相等と会談を行った後、日本を訪問。訪日中、増田総務大臣、石破防衛大臣等と会談、また多数の情報通信技術関係の日本企業を訪問し、企業関係者と交流した。

 また、在日ベルギー・ルクセンブルク商工会議所主催セミナーにおいて情報通信企業関係者に対しルクセンブルクの利点に関するプレゼンテーションを実施。更に上智大学の学生と開発協力分野における課題について議論する機会を持った。

 

(3)クレッケ経済・通商大臣、エネルギー効率及び再生可能エネルギーに関する情報収集並びに協力関係の可能性調査のため、第1回環境・経済ミッションを伴いオランダ訪問(10月16、17両日)

 クレッケ経済・通商大臣は、フヴェン・オランダ経済大臣と両国間のエネルギー政策や、特に再生可能エネルギー分野での協力の可能性について議論した。オランダ経済省主催のセミナーにおいて、クレッケ大臣率いるミッションは、オランダのエネルギー政策及びエネルギーに関する持続的な開発計画について情報提供を受けた。

 

(4)ユンカー首相、リスボン条約について国民議会へ説明(10月23日)

10月18日のEU非公式首脳会合でリスボン条約が了承されたことを受け、ユンカー首相は、今後の国内批准作業を視野に入れ、国民議会に対し、リスボン条約は欧州憲法条約と同じくらい優れたものではないが、それでも「欧州にとって十分良いものであり、ルクセンブルクにとっては、大変良いものである」と述べ、賛同を求めた。

 

(5)クレッケ経済・通商大臣兼スポーツ大臣の中国訪問(10月29日~11月3日)

クレッケ経済・通商大臣兼スポーツ大臣は、経済・通商ミッションを率いて中国を公式訪問。北京に於いて、ルクセンブルク経済・通商省及び中国国家発展・改革委員会(NDRC)共催のエネルギー効率に関する第1回ルクセンブルク・中国シンポジウム、及びルクセンブルク・中国間外交関係樹立35周年記念レセプション、並びに中小企業に関するASEM会合にそれぞれ出席した。香港では、ルクセンブルク・香港特別行政区間の二重課税防止に関する新協定に署名した。

 

(6)アッセルボルン副首相兼外務・移民大臣による国民議会における外交演説

11月13日の国民議会に於ける演説で、アッセルボルン外相は特に国際社会におけるEUの役割増大、リスボン条約の早期発効の必要性、アフガニスタン、コソボ、中東等の国際地域情勢、アフリカ開発問題等に関し考え方を述べた。

 

(7)欧州議会経済通貨委員会におけるユンカー・ユーログループ議長定期報告

 11月20日、欧州議会経済通貨委員会において、ユンカー・ユーログループ議長より、ユーロ圏の経済情勢及び加盟国の財政状況に関する定期報告が行われた。

 世界経済情勢は総じて良好とした上で、ユーロ圏の経済成長率を07年2.6%、08年2.2%と予想。サブプライム問題の影響に関しては、08年以降停滞を惹き起こすことが予想されるとした。また、インフレの懸念を指摘し、ECBによる価格安定政策のみならず、加盟国政府の責任を指摘した。更に為替レートについて、経済のファンダメンタルズが反映されるべきであると繰り返しつつ、最近の急激な為替変動に対する懸念を表明した。

 

(8)08年3月1日よりの賃金物価スライドの実施

12月5日、ルクセンブルク統計局は、08年3月1日よりの賃金の物価スライド実施を発表。11月1日時点での物価上昇率が年率3.2%に達したことにより、06年6月27日の法律規定に従い、08年3月1日より賃金及び年金が2.5%引き上げられる。ルクセンブルクにおける賃金の物価スライド制は、前回のスライド実施時点より物価上昇率が2.5%を越えた時点で(通常は上昇が確認された翌月から)賃金を自動的に2.5%上昇させるもの。なお07年は一度も実施されなかった。

 

(9)EU財務相理事会(VAT法制パッケージ合意)

 12月3~4日にブリュッセルにて開催されたEU財務相理事会において、VAT法制パッケージ案のうち、ルクセンブルクが反対を表明していたB2C(一般消費者向けサービス)に対する課税地指令の改正に関して合意が形成された。

 この結果、課税地の変更(課税地を原産国から消費地に変更)は2015年1月1日より実施されること、サービス提供者所在地の国と顧客所在地の国の間での電子取引より生じる税収の分割率などが決定した。

 

(10)ルクセンブルク中央銀行(BCL)による2007年下半期マクロ経済報告

 インフレ率は、主に原油価格及び食糧品価格の上昇により11月には3.2%に達し、08年第3四半期までこのレベルで留まると予想。また賃金の物価スライド制はインフレを長引かせるとして、ルクセンブルク経済に悪影響をもたらすと指摘。

 国家財政に関しては、赤字額が07年にはGDP比0.5%であったものが、08年には1.0%に悪化すると予想。これは、子女手当の支給制度の導入、税制の部分的物価スライド制の導入などによるものと指摘。

 金融セクターに関しては、第1・2四半期の順調な発展と相反して、第3四半期には、米サブプライム問題の影響を受け投資信託業界の成長に陰りが見られた、としている。

 

(11)所得税額表の改定及び子女手当の支給

国民議会は12月23日、所得税額表の改定と子女手当の支給に関する法案を可決。08年1月より扶養子女一人当たり、一律に年922.50ユーロを支給することとなった。

 

.主な出来事

(1)政治

【10月】

4日  ルセンブルク刑務所の安全装置の刷新・近代化法案等について閣議了解

23日 ユンカー首相、18日のEU非公式首脳会合で了承されたリスボン条約について、

今後の国内批准作業を視野に入れ、国民議会に対し説明

 

【12月】

19日 国民議会、所得税額表の改定及び子女手当の支給に関する法案を可決

 

(2)外交・安全保障・EU

【10月】

2~3日  アッセルボルン外相、第一回ベネルクス・バルト諸国外相会合に出席(於リガ)

5日    エンフボルド・モンゴル国首相、ルクセンブルク実務訪問

15日 ソマビアILO事務局長のルクセンブルク訪問

15~16日 EU総務・対外関係理事会(於ルクセンブルク)

18日 ユンカー首相、リスボン条約を最終確認するEU首脳会合に出席(リスボン)

22日 ユンカー首相、「CAREミレニアムアワード」(CARE-Millenniumspreis)を受賞(於ベルリン)

22日~25日 フリーデン法務大臣、国内安全・治安分野における欧州・米国間協力を目的に米

                国を実務訪問

25日 仏語圏国際機構(OIF)ディウフ事務局長がルクセンブルクを訪問

 

【11月】

5日  アッセルボルン外相、欧州・地中海パートナーシップ閣僚会合に出席

6日  ユンカー首相がベルリンに於いてメルケル独首相と会談。主にリスボン条約の批准プロセ

        ス、トルコ及びクロアチアのEU加盟問題等について協議

16日 シュミット外務担当大臣が08年前半のEU議長国スロベニアのアルガイェロヴァ外務担当大臣の訪問を受ける。欧州の現在の懸案特にコソボ情勢について意見交換

13日 アッセルボルン外相、国民議会にて外交演説。EUの役割、リスボン条約、国際地域情勢

        等について言及

29~30日 アッセルボルン外相、OSCE外相理事会出席(於マドリード)

 

【12月】

7日  アッセルボルン外相、NATO外相会議出席(於ウクライナ)。NATO部隊の

アフガニスタン、コソボ等に於ける活動について議論

11~12日  アッセルボルン外相及びシュミット外務担当大臣、EU総務・対外関係理事会に出

              席(於ブリュッセル)

13日 ユンカー首相他、リスボン条約署名式に参加(於リスボン)

14~15日 ユンカー首相及びアッセルボルン外相、欧州理事会出席(於ブリュッセル)

17日 アッセルボルン外相、パリにおけるパレスチナ支援ドナー会合出席

 

(3)経済

【10月】

8日    クレッケ経済・通商大臣、WSA跡地(当国南部のベッテンブルクに所在する、航空機、装備の保管や維持を行う当国駐留米軍キャンプから同業務を委託されていた私企業Warehouse Service Agencyが撤退した跡地)の再開発計画を発表。

9日    英不動産コンサルタントCUSHMAN&WAKEFIELD、欧州で企業進出に魅力的な都市について欧州大企業500社の経営者より聞き取りしたEuropean Cities Monitorを発表。1位ロンドン、2位パリ、3位フランクフルト。ルクセンブルクを挙げたのは500社のうち4社のみで選外。

10日  ・フリーデン国庫・予算大臣、08年予算政府案を国会に提出。総額84億3800万

          ユーロ(約1兆4180億円。前年比7.6%増)の歳入に対して、歳出は84億

          5800万ユーロ(約1兆4210億円。前年比5.3%増)

        ・秋の見本市開会。開会式において、クレッケ経済・通商大臣がスピーチを行い、対外プ

          ロモーション活動の総括を行うと共に、経済政策の力点などに触れた。

・ユンカー首相及びSTATEC(ルクセンブルク統計局)、CSSF(金融監督委員

  会)公表値に基づき、金融情勢に関する報告を行い、米サブプライム問題の影響による

  ルクセンブルク金融市場の活動の停滞に言及。

10~20日 シルツ開発・人道援助・コミュニケーション・国防大臣、日本及びアジアにおける

              開発援助対象国であるベトナム、ラオス両国を歴訪。日本では主に情報通信技術分

              野の市場調査を行い、また増田総務大臣、石破茂防衛大臣等と会談。

12日 OECD(経済協力開発機構)、ルクセンブルクを含む3加盟国及びキプロスなどのオフショア・センターは透明性を欠いていると報告。

16~17日 クレッケ経済・通商大臣、エネルギー効率及び再生可能エネルギーにする情報収集

       等のため、環境・経済ミッションを伴いオランダ訪問。

19日 ユンカー首相(兼財務大臣)、ユーログループ議長として、ワシントンにて開催された

        G7財務相会合に参加。

26日 クレッケ経済・通商大臣、リッペル独ザールラント州政府経済大臣と会見

 

【11月】

6日  クレッケ経済・通商大臣、フリーデン国庫・予算大臣同席の下、ルクセンブルクの対外プ

        ロモーションを目的とした新機関「Luxembourg for Business」設置を発表。金融市場の

        普及促進を行う「Luxembourg for Finance」と緊密に協力することが求められると述べ

        た。

8日  クレッケ経済・通商大臣、ルクセンブルク南部を域内物流拠点とするための「Eurohub

        Luxembourg Sud」計画の大筋を発表。

9日  ・ユンカー首相、当地でグロス独経済・技術大臣と会談。特に国内エネルギー問題につい

          て協議

・ルクセンブルク政府は、ニカラグア、メキシコ、ドミニカ共和国、ハイチ及びベトナム

 における自然災害に対して、人道援助を決定。

12日 ・シルツ開発・人道援助大臣、第4回ルクセンブルク・ブルキナ・ファソ・パートナーシ

     ップ委員会をコンパオレ・ブルキナ・ファソ経済・財務大臣との共同議長で開

     催。2008年~12年の二国間開発協力の枠組みを示す第2次協力指標プログラムに

     署名。

・欧州会計検査院(当国所在)のウェーバー院長、欧州議会予算統制委員会で06年度検

 査報告を発表。

13日 大公妃殿下及びシルツ開発・人道援助大臣、自立的発展支援協会(ADA)によるマイクロファイナンス・センター(La Maison de la microfinance)の開館式に出席。

20日 欧州議会経済通貨委員会において、ユンカー・ユーログループ議長、ユーロ圏の経済情勢及び加盟国の財務状況に関する定期報告。

21日 シルツ開発・人道援助大臣、第5回ルクセンブルク・セネガル・パートナーシップ委員会をディオップ・セネガル内務・経済・財務大臣との共同議長で開催。

27日 シルツ開発・人道援助大臣、マイクロファイナンス関係者とともに07年マイクロファイナンス週間の開幕式に参加。

27~28日 ユンカー首相(兼財務相)、ユーログループ議長として、トリシェBCE総裁及びアルムニア欧州委員会経済・財務総局委員と共に中国を訪問。特に為替レート、知財問題に関して中国側と協議した。

 

【12月】

3~4日 EU財務相理事会開催。VAT法制パッケージが合意に至る。

4日 ・OECD(経済開発協力機構)の実施したPISA(生徒の学習到達度調査)によると、

        ルクセンブルクの科学的リテラシー全般の順位は34位。1位フィンランド、2位香港、

        3位カナダ、6位日本。

      ・「企業の創立及び継続」デーの一環で、女性経営者連盟(FFCEL)が、「女性の経営スタ

 イルは競争上優位か?」と題する円卓会議を開催。

    ・ルクセンブルク商工会議所、欧州13か国を対象に行われた「欧州の商工会議所2008」調

        査結果を発表。ルクセンブルクの経営者5人に一人は08年の業績を悲観視。ギリシア、

        スペインとともに悲観的な見方をする国の一つに。

5日  ルクセンブルク統計局(STATEC)、翌年3月1日よりの賃金及び年金の物価スライ

        ド(2.5%)実施を発表。

6日  クレッケ経済・通商大臣兼スポーツ大臣、リヒテンシュタイン訪問

11日 アル・シャマリ・クウェート財務大臣、ルクセンブルク・クウエート間の二重課税回避及

        び金融詐欺防止を目指す協定に署名するためルクセンブルクを訪問。また、ユンカー首相

        等と原油高、湾岸地域の経済・金融情勢について意見交換。

12日  08年予算政府案、国民議会において修正なしに可決。

13日 ルックス環境相、バリにおける第13回気候変動枠組条約締結国会議に出席

14日  ルクセンブルク中央銀行(BCL)、07年下半期マクロ経済動向を公表

16~20日 ビルツェン文化・高等教育・研究大臣及びクレッケ経済・通商大臣、保健衛生技術

              セクターの情報収集及び市場調査のため米国を訪問。

17日 ルックス環境大臣兼運輸大臣、「ルクセンブルクの年間CO2排出量の43%はガソリ

        ン・ツーリズム(安価なガソリンの給油だけを目的に来訪するもの)によるもの。京都議

        定書を遵守する必要はあるが、ガソリンの売上げは無視できない規模であるため、ガソリ

        ン・ツーリズムを減らす断固たる措置は取らない」と発言。

20日 Fedil(ルクセンブルク経団連)、その名称をFedil Business 

        Federation Luxembourgに変更。

 

(4)大公室・社会

【10月】

1日  道路交通法の一部改定。これにより飲酒運転に関し、罰則の対象が1リットルの呼気に対して0.25mg以上(これまで0.35mg以上)に引き下げられ、また0.55mg/L以上の場合、違反者は軽犯罪に問われることとなった。

15日 大公殿下、2007年欧州文化首都のシビウ(ルーマニア)を訪問

15日 ルクセンブルク大学、冬学期の在籍学生数が前年同期比で21.5%増加。

16日 ブリティッシュ・カウンシル、EU25か国及びスイス、ノルウェー、カナダ

28か国を対象に行った2006年のMigrant Integration Policy Indexを発表。

総合トップはスウェーデン(88点)、ルクセンブルクは55点で11位。

 

【11月】

11日     ギヨーム皇太子殿下、26歳の誕生日

22~26日 大公同妃両殿下、ミシェル・バチェレ・チリ大統領の招きにより、チリを

公式訪問。

26~29日 大公同妃両殿下、ルラ・デ・シルヴァ・ブラジル大統領の招きにより、ブ

ラジルを初めて公式訪問。

 

【12月】

8日  欧州文化首都終了式典

24日  大公殿下によるクリスマス・メッセージ

 

 

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