ルクセンブルク情勢(2008年第3四半期7-9月) |
|
1.概況
2.主要トピック (1)ルクセンブルク憲法改正論議(7月19日) ル・コティディアン紙、現在国民議会で行われている憲法改正に向けた議論に関連し、マイヤース議員(国家機関・憲法改正委員会委員長)とのインタビュー記事を掲載。改正案は特に国家機関の相互関係と大公の役割に関係し、またルクセンブルク語の扱いについても議論されている由。憲法改正委員会における作業を年末までに終え、国民議会に改正法案を提出する予定の由
(2)国連総会(9月26日) アッセルボルン副首相兼外相、ニューヨークの国連本部で開催された第63回国連総会に出席。9月26日に行った一般討論演説で、昨年に続いて気候変動問題及びアフリカ開発問題に触れると伴に、中東、グルジア、ダルフール等の地域紛争解決に向けた関係者の真剣な取組みを訴えた。
(3)OECD、ルクセンブルク経済審査報告(7月1日) OECD、ルクセンブルク経済に関し、金融業を中心に経済はこれまで好調であったものの、今後も成長を続けるためには、医療や教育といった、高技能勤務者を引き寄せる魅力を更に向上させることが必要であり、財政分野においては、年金制度に対する中期的な準備が必要である、などとする経済審査報告を発表
3.主な出来事 (1)内政 【8月】 5日 シュミット外務・移民担当大臣、ルクセンブルク国内に在住するコソボ移民の本国帰還問題に関し、61名のコソボ移民に対し自らの意思で本国に帰還するよう求めた旨、記者会見で説明。また同大臣は、国際移住機関(IMO)のヘミングウエイ地域代表とともに、本国帰還希望移民支援措置に関する協定に署名
【9月】 10日 ヤコブス家族・統合大臣兼機会均等大臣、「平等な対応センター」(Equal Treatment Center)の設立と平等権に係わる国内法制を記者会見で説明 19日 ル・コティディアン紙、憲法改正に向けた議論に関するマイヤース議員(国家機関・憲法改正委員会委員長)とのインタビュー記事を掲載
(2)外交・安全保障・EU 【7月】 2~3日 シルツ開発協力・人道援助大臣、ニューヨークで開催された国連経済社会理事会(ECOSOC)に出席。特に国連ミレニアム開発目標の達成に向けたルクセンブルクの取組について発言 10日 シルツ開発協力・人道援助大臣、欧州諸国歴訪の一環でルクセンブルクを訪問したトーゴのバワラ協力・国土整備大臣と会談 13日 ユンカー首相及びシュミット外務・移民担当大臣、パリで開催された「地中海のための連合」首脳会議に参加 22日 アッセルボルン副首相兼外相、ブリュッセルで開催されたEU総務・対外関係理事会に出席。EUとセルビア及びウクライナとの関係が主要議題 24日 ルクセンブルクに於いて第4回ルクセンブルク・マリ・パートナーシップ委員会開催。医療、水・衛生、食糧、職業訓練、グッド・ガバナンスと地方分権等の分野で協力文書に署名。現在両国は2007-2011年の協力プログラムを実施中
【8月】 13日 アッセルボルン副首相兼外相、ブリュッセルで開催されたEU総務・対外関係理事会に出席。グルジア紛争に関し、仏EU議長国による迅速な調停工作を讃えると伴に、グルジア地域の安定と被災民に対する早急な人道支援が必要と発言 19日 アッセルボルン副首相兼外相、ブリュッセルで開催されたグルジア紛争に関するNATO会合に出席。ロシア軍に対して、武力衝突以前のラインへの撤退を求める一方、ロシアとの対話継続が必要と発言 26日 ユンカー首相及びアッセルボルン副首相兼外相、ロシアによる南オセチア及びアブハジアの独立承認は、グルジアの主権、独立及び領土一体性を確認する国連安保理決議1808に反し、また国連憲章及びOSCEの基本原則に反するとの声明を発出
【9月】 1日 ユンカー首相、アッセルボルン副首相兼外相及びシュミット外務・移民担当相、ブリュッセルで開催されたグルジア紛争に関する特別欧州理事会に出席 3~4日 シルツ開発協力・人道援助大臣、ガーナのアクラで開催されたOECD・世銀・アフリカ開発銀行共催による援助効果向上に関するハイレベル会合に出席 5日 ユンカー首相、欧州統合に対する功績が認められ、ミュンヘン市よりフランツ・ヨーゼフ・シュトラウス賞(Franz-Josef-Strauss)を受賞 5~6日 アッセルボルン副首相兼外相、アヴィニョン(仏)で開催されたEU非公式外相会合に出席。主に欧州と次期米政権との関係、グルジア情勢等について協議 9日 シュミット外務・移民担当相、パリで開催された移民と庇護に関するEU担当相会合に出席 15日 アッセルボルン副首相兼外相及びシュミット外務・移民担当相、ブリュッセルで開催されたEU総務・対外関係理事会に出席。主にグルジア、セルビア、ジンバブエ問題等について協議 19日 シルツ国防相、ロンドンで開催されたNATO非公式閣僚会合に出席 22~26日 アッセルボルン副首相兼外相、第63回国連総会に出席(於ニューヨーク) 25日 ・ル・ジュディ紙、「拉致問題は日本と北朝鮮の間の国交正常化の障害となっている-『日本は行動を望んでいる』」との見出しで解説記事を掲載 ・ユンカー首相、ディ・バルトロメオ保健相兼社会保障相と共にアルバニアを訪問。同国とNATO及びEUとの協力についてサリ・ペリシャ首相と意見交換 29日 ユンカー首相、欧州建設への貢献が認められゾーリンゲン市(ドイツ)より「Scharfste Klinge」賞を受賞
(3)経済 【7月】 1日 OECD、ルクセンブルク経済に関し、金融業を中心に経済はこれまで好調であったものの、今後も成長を続けるためには、医療や教育といった、高技能勤務者を引き寄せる魅力を更に向上させることが必要であり、財政分野においては、年金制度の成熟に向けた中期的な準備が必要である、などとする経済審査報告を発表 2日 ルクセンブルガー・ヴォルト紙、ブリュッセルのEU外交官筋の話として、ユンカー・ユーログループ議長(ルクセンブルク首相)が、求められればユーログループ議長職を続ける用意がある旨報道 9日 統計局、来年3月1日より賃金の物価スライドが実施され、賃金、公務員給与及び年金が2.5%上昇する見込みと公表 11日 メルシュ・ルクセンブルク中央銀行総裁、同中銀の上半期報告の席上で、「専門的な意味で言えば、欧州のある一国で、第2四半期の経済がマイナス成長であり、第3四半期にも同様にマイナス成長が継続するならば、これは景気後退の定義に合致するが、第1、第2両四半期を平均すれば、厳密には景気後退はない」、「インフレを踏まえての賃金の物価スライド制度は、ルクセンブルクの生産性及び競争力を阻害する」旨コメント 12日 ユンカー首相、当地RTLラジオに対するインタビューで、賃金の自動物価スライド制即時再導入に関するOGB-L(ルクセンブルク独立労働組合連合)の要求を拒否する旨、また、全面的な賃金の物価スライド制は、2010年1月に再び導入されるが、再導入までに経済状況が悪化すれば変更はありうる旨発言 25日 統計局、経済成長の減速を確認。国内GDPは継続して成長しているものの、明らかに成長が鈍化していると発表 30日 アルセロール・ミタル社、2008年上半期業績発表。売上高676億ドル、純利益82億ドル
【8月】 12日 統計局、2006年コミュニティ・イノベーション調査結果を発表。10社中8社がナレッジ・マネジメントの重要性を認識 18日 統計局、統計情報を携帯電話等で閲覧できるサービスを開始 22~23日 メルシュ・ルクセンブルク中央銀行総裁、米カンザスシティ連邦銀行主催のシンポジウム出席のため、ワイオミング州ジャクソンホールを訪問 27日 ルクセンブルク中央銀行、8月の消費者信頼感指数が5か月ぶりに上昇したと発表
【9月】 8~11日 クレッケ経済・通商大臣、経済ミッションを率いてトルコを訪問 12日 ユンカー首相、ユーログループ議長三選が決定 19日 金融監督委員会、規制市場で取引される金融機関・保険会社の株式について、いわゆる裸の空売りを禁止 23~24日 ルクセンブルク投資信託協会、米NICSAとグローバル投資ファンドフォーラムを開催 23~28日 シルツ通信相、先端技術に関する市場調査のため中国を訪問 28日 当地各種メディア、白、蘭及びルクセンブルク政府による、白・蘭系金融グループのフォルティスの救済策について報道 29日 フリーデン国庫・予算大臣、当地RTLラジオを通じ、ルクセンブルク政府が、フォルティス・ルクセンブルク銀行の株式を49%取得すること、国庫・予算大臣として、今回の出資も報われるようにすることが重要である旨コメント 30日 ・フリーデン国庫・予算大臣、当地RTLラジオを通じ、ルクセンブルク政府がデクシア・BIL銀行の転換社債の購入により同行資本の20%を保有し、預金者と雇用者を保護するとコメント ・ロメス・ルクセンブルク銀行・銀行家協会事務局長、ルクセンブルガー・ヴォルト紙のインタビューで、フォルティス救済措置について、国家の介入は、同行の業務の継続と、預金の保全を顧客に伝え、安心させる正しい選択であった旨発言 ・ユンカー首相、当地RTLラジオを通じ、政府によるフォルティス及びデクシアの救済について、両行の顧客は、心配する必要は全くなく、最も恐ろしいのは、顧客の信頼損失の長期化である旨発言
(4)大公室・社会 【7月】 2日 環境保護団体グリーンピース・ルクセンブルク、在ルクセンブルク日本大使館に対し、調査捕鯨反対に加え、いわゆる「鯨肉横領」事案の捜査及び先般逮捕されたグリンピース構成員2名の釈放等を求める抗議行動を実施 3日 セルヴェ基金(Fondation Servais)、詩人アニズ・コルツ(Anise KOLTZ)に2008ルクセンブルク文学賞を授与 10日 ・ツール・ド・フランスの第6区間でルクセンブルク人選手のキム・キルチェンが総合トップに(マイヨー・ジョーヌ獲得)。ルクセンブルク人選手としては1958年ぶりの快挙。その後、第10区間まで総合トップを維持 ・国民議会の情報機関統制委員会、1980年代半ばに起きた謎の連続爆破事件(ボムレール事件)の関係で、当時ルクセンブルク情報機関に違法な行為はなかった旨調査結果を発表 12日 ル・コティディアン紙、最新のEurobarometer世論調査の結果を報道。ルクセンブルク住民の95%は日常生活に満足しているが、37%が家賃・住宅価格、25%が教育システムに不安を感じており、また60%が欧州機関・制度に信頼を置く一方、僅か33%が欧州拡大に賛成の由 20日 ツール・ド・フランスの第15区間で、ルクセンブルク人選手のフランク・シュレック(Frank SCHLECH)が総合トップに。国内メディアは、キム・キルシェン選手に続く快挙と一斉に報道
【8月】 30~31日 ベルヴォーで第3回グランド・レジョン地域青少年サッカー大会が開催。フランスのメッスFCが優勝。ルクセンブルク選抜チームは12チーム中4位
【9月】 13日 第11回ベネチア建築ビエンナーレ(国際建築展覧会)のルクセンブルク・パビリオンの除幕式典。ルクセンブルクがこのビエンナーレに参加したのは3度目
Copyright (C): Ambassade du Japon au Luxembourg | Legal Matters | About Accessibility | Privacy Policy |