ルクセンブルク情勢(2009年第4四半期10-12月) |
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1.概況
2.主要トピック (1)アッセルボルン副首相兼外相、国民議会で外交演説(11月17日) 特に、①リスボン条約施行時の詳細な詰めが欧州の連帯を実現する上で肝要、②ユーログループはリスボン条約による制度化を機に一層のプレゼンスを示すべきである、③欧州が国際競争で勝ち抜いていける包括的な経済策を望み、金融資本がカリブ諸島やアジアに流出する結果に満足しない、④ASEANの重要性を認識するなどと発言。また日本の掲げる2020年までの温室効果ガス90年比25%削減目標を模範例として取り上げた。 (2)2009-2010年通常国民議会が開会(10月13日) 本年6月の総選挙を受けた初めての通常国民議会が開会。モザール新国民議会議長の下、今会期では特に、①1978年妊娠中絶法の改正法案(妊娠12週間以内の中絶容認要件の緩和と手続きの明確化)、②包括的な憲法改正案(国民による主権行使の明確化、大公位継承権の男女平等、政府・内閣の役割明確化、公用語としてのルクセンブルク語への言及、法案発議への国民イニシアティヴなど)、③公衆の場での喫煙規制の強化、④同性婚の可否などが審議される予定。既に12月に国内官職をEUメンバー国籍人へ開放する法律が成立した(但し中央官庁、外交、軍、警察、司法関係等の職種は除外)。 (3)クレッケ経済・通商大臣、秋の見本市開会式で恒例の演説(10月17日) 次の3つの優先事項に集中する意向等を表明。 ①2020年までに再生可能エネルギーの利用を11%にするための財源捻出に係る活動及び温室効果ガス削減の行動計画を数か月中に発表 ②行政庁舎のエネルギー効率や、コジェネレーションに関する新規則を施行する準備 ③研究・開発・イノベーション促進に関する2009年6月5日の法律や、環境保護及び天然資源の合理的利用への補助に関する法案によって、ルクセンブルクの全経済部門、全生産過程及びエネルギー消費の全形態におけるエネルギー効率を改善。 また、エネルギー供給上の安全保障に鑑み、国レベルでの新規の原油貯蔵施設の設置場所を確保 (4)日・ルクセンブルク租税条約に係る改正議定書案及び交換公文案双方について、両国が基本合意(12月22日)
3.主な出来事 (1)内政 【10月】 13日 2009-2010年通常国民議会が開会(注:議会規則により毎年10月第2火 曜に開会する) 14日 バルトロメオ保健相、国民議会で新型インフルエンザに対するワクチン接種キャ ンペーンの実施方針を説明 【11月】 16日 最大与党のキリスト教社会党(CSV)、新党首にミッチェル・ヴォルター元内相(47歳)を選出。マーク・スパウツ議員が新幹事長に就任 25日 ビルツェン法務相、二重国籍の取得を容認する新国籍法の施行後の概況を記者会見で説明。施行後過去10か月間で外国人3152人がルクセンブルク国籍も取得(申請者の比率:ポルトガル人32.7%、旧ユーゴスラビア人19.9%) 【12月】 2日 ディ・バルトロメオ保健大臣、喫煙者の命を守るとともに、受動喫煙にさらされる非喫煙者を守るため、喫煙制限の強化を目的とする法案の提出を準備している旨国民議会で発言
(2)外交・安全保障・EU 【10月】 3日 ユンカー首相、アイルランドでの国民投票によるリスボン条約批准可決を歓迎す る旨ラジオ・インタビューで発言 5日 アッセルボルン副首相兼外相、同日発表されたリスボン条約の実施方法に関するベネルクス3か国覚書について記者会見で説明 6日 ・ユンカー首相、欧州理事会常任議長の有力候補に噂されるブレア英前首相に対 し批判的な見方を示す(ヴォルト紙報道) ・第5回ルクセンブルク・ニカラグア・パートナーシップ委員会開催。現行協力指標計画(2007-2010年、3160万ユーロ)の実施状況をレビュー ・タイ貿易代表部のKiat Sittheeamorn会長来訪。アッセルボルン副首相兼外相、クレッケ経済・通商大臣、ボドリ国民議会経済・通商委員会委員長らと会談 8日 アッセルボルン副首相兼外相、当地でASEAN10か国の大使と面談。双方向の経済・貿易関係の強化及びASEANの統合について意見交換 12・13日 アッセルボルン副首相兼外相、ベネルクス・バルト外相会合出席(於リトアニア)。リスボン条約の批准と同条約発効後のEU機構問題などについて議論 14・15日 アイルランドのメアリー・マッカリース大統領が国賓として来訪 16日 オルブライト元米国務長官来訪。現在見直しが進められているNATO新戦略概 念に関するセミナーに参加(於ルクセンブルク商工会議所)(注:同元米国務長 官は、現在NATO新戦略概念の見直しに関する専門家グループの座長) 19・20日 第10回ルクセンブルク・カーボベルデ・パートナーシップ委員会開催。現行協力指標計画(2005-2010年、4500万ユーロ)の実施状況をレビュー。また次期協力指標計画(2011-2015)の協力分野を協議 21・22日 ハルスドルフ内務・国防大臣、コソボ訪問。同地でEUミッション(EULEX) に参加する当国警察官(2名)とKFOR(NATOのコソボ治安維持部隊)に参加 する当国軍人(23名)を激励 23日 ・セルビアのツベトコビッチ首相来訪。ユンカー首相と二国間関係、欧州加盟問 題等を協議 ・コスタリカのスターニョ外相来訪。アッセルボルン副首相兼外相と二国間関係、EU・中南米関係を協議 26日 フランスのルルーシュ欧州担当相来訪。ユンカー首相及びアッセルボルン副首相 兼外相と欧州の諸懸案、リスボン条約の実施、アフガン情勢などを協議 26・27日 ルクセンブルクでEU総務・対外関係理事会開催 EUの対アフガニスタン・パキスタン行動計画を採択 27日 欧州評議会のヤーグラン事務総長来訪。ユンカー首相及びアッセルボルン副首相 兼外相とEU・欧州評議会関係などについて意見交換 29・30日 ユンカー首相及びアッセルボルン副首相兼外相、欧州理事会出席。リスボン条約の批准、コペンハーゲンCOP15、経済・金融・雇用問題などを議論 【11月】 3日 ・マケドニア旧ユーゴスラビア共和国のミロショスキー外相来訪。アッセルボルン副首相兼外相と二国間関係、欧州関係を協議 ・ドイツのウェスターウェレ外相来訪。ユンカー首相及びアッセルボルン副首相 兼外相と二国間関係、欧州の諸懸案等を協議 9日 ユンカー首相、ベルリンの壁崩壊20周年記念式典に出席(於ベルリン) 10日 ・欧州会計検査院のカルデイラ院長、ブリュッセルで開催された欧州議会予算統制委員会で08年度検査報告(一般会計分及び欧州開発基金分)を公表 ・第5回ルクセンブルク・ベトナム・パートナーシップ委員会開催。ベトナムの国連ミレニアム開発目標の達成など着実な経済発展を確認 14日・15日 当地各紙、欧州理事会常任議長候補としてユンカー首相が有力と報道 16日 アッセルボルン副首相兼外相及びヤコブス開発協力相、EU総務対外関係理事会出席(於ブリュッセル)。EUリスボン戦略の見直し、EU・ロシア関係、気候変動問題と開発支援等を議論 17日 アッセルボルン副首相兼外相、国民議会で外交演説 19日 ・アッセルボルン副首相兼外相、外務省でラテンアメリカ諸国の大使ら18名と面談。ルクセンブルク及びEU・ラテンアメリカ諸国関係などを議論 ・臨時欧州理事会(於ブリュッセル)、欧州理事会(常任)議長にファン=ロンパイ・ベルギー首相を選出。有力視されたユンカー首相の就任ならず 23~25日 アッセルボルン副首相兼外相、タイとカンボジアを訪問。経済関係の強化、気候変動問題、ミャンマーなど地域問題を協議。ASEAN統合も意見交換 26日 欧州会計検査院のカルデイラ院長、欧州議会本会議で08年度検査報告に関し演説。08年度一般会計の決算に関し、2年連続で無限定(適正)意見を表明 【12月】 1日 リスボン条約が発効 1・2日 ・ヤコブス開発協力相、セネガルを訪問。第6回ルクセンブルク・セネガル・ パートナーシップ委員会に出席 ・アッセルボルン副首相兼外相、OSCE閣僚理事会に出席(於アテネ) 3日 ・アッセルボルン副首相兼外相、NATO外相会合出席(於ブリュッセル) ・ヤコブス開発協力相、マリを訪問。第5回ルクセンブルク・マリ・パートナーシップ委員会に出席 7・8日 アッセルボルン副首相兼外相、EU総務・対外関係理事会出席(於ブリュッセル)。新たに選出されたアシュトン外務・安保政策上級代表を交えてEUの役割、新設される欧州対外活動庁などについて意見交換 10・11日 ユンカー首相、欧州理事会出席(於ブリュッセル)。リスボン条約発効を受けたEU機構問題、経済・金融・雇用問題、コペンハーゲンCOP15への対応等を協議 14日 ヤコブス開発協力相、気候変動に関するEU協力相会合出席(於コペンハーゲン) 15日 アッセルボルン副首相兼外相、当地でアフリカ諸国大使と面談。ルクセンブルク及びEU・アフリカ関係、アフリカ支援、地域情勢等を議論 16日 アッセルボルン副首相兼外相、次期EU議長国のスペインを訪問。モラティノス外相と2010年前半のEUの課題、経済・金融問題等を協議 17日 国際紛争の分野で活動する国際NGO「ICG」のアルブール会長が来訪。アッセルボルン副首相兼外相とバルカン情勢などについて意見交換 17・18日 ユンカー首相、気候変動枠組み条約第15回締約国会合(COP15)に出席(於コペンハーゲン)。 21日 ベルギーのファンアッケレ外相来訪。二国間関係、欧州対外活動庁などEUの機構問題及び欧州諸情勢を議論
(3)経済 【10月】 1日 ・ルクセンブルク証券取引所、グローバル預託証券で構成される新指数Lux GDRs India及びLux GDRs Taiwanの運用を開始 ・投資信託協会、政府の10年度予算案に、マイクロファイナンス投資信託の年次税控除が盛り込まれたことを歓迎 3・4日 ル・コティディアン紙、独バーデン・ヴェルテンベルグ州立銀行ルクセンブルク支店が支店閉鎖に伴い250名の従業員を解雇すると報道 7日 OECDのワーキンググループ、ルクセンブルクの環境パフォーマンスを検討 8日 ル・コティディアン紙、BNPパリバの増資に関し、ルクセンブルク政府は、その保有株に割当てられる新株引受権の一部売却により得る資金で、払い込みに応じる旨発表したと報道 15日 ・貧困撲滅のための国際デーを前に、ルクセンブルク統計局、労働及び社会的結束に関する報告書(対象:2008年)を公表。所得額の中央値(メディアン)の6割未満を「貧困」ラインとする2001年の欧州理事会定義に照らすと、ルクセンブルクでは月額(1人で生活している場合)1,546ユーロ未満が「貧困」ライン(同報告書によると欧州で最高額、2位ノルウェー、3位英国) ・ルクセンブルク証券取引所、印自動車最大手、タタ・モーターズの転換社債及びグローバル預託証券の上場を認可。両証券の発行総額は7億5千万ドル 17日 クレッケ経済・通商大臣、秋の見本市開会式で恒例の演説 28日 ・同付政府公報、低CO2排出車普及のための補助金CARe及びCAReプラスに関するヴィズラー持続的成長・インフラストラクチャー大臣の国民議会答弁内容を掲載 ・レッツェブルガー・ジャーナル紙、銀行協会ローメス事務局長とのインタビューを報道:「万人の権利であるべき銀行秘匿が無くなることはないだろうが、恐らく今とは違う形を取るだろう」など 【11月】 2日 ルクセンブルク証券取引所、国連本部で開催された「持続可能な証券取引所」会議で、ルクセンブルクのマイクロファイナンス活動発表等を実施 10日 ルクセンブルク、スペイン両国、ブリュッセルで二重課税防止条約の改正議定書に署名 12日 ・環境保護団体グリーンピース、当国電力会社ENOVOS社による、独、蘭の火力発電所への投資計画に抗議して、同本社も入居している経済・通商省庁舎前に5トンの石炭を積み上げるデモ ・ル・コティディアン紙、環境意識の高まりにより当国と仏ペルピニアン間のトレーラー車両によるピギーバック鉄道輸送が好調と報道 16~19日 ギヨーム皇太子殿下、経済ミッションを率いてクレッケ経済・通商大臣と 共に当国進出米企業の本社をご訪問 23日 銀行協会HP、イスラム金融サービス委員会がルクセンブルク中央銀行を会員認 定したと発表 24日 ・ヴィズラー持続的成長・インフラストラクチャー大臣等、低CO2排出車の促進のためのCAR-e及びCAR-eプラス並びに省エネ冷蔵庫の促進のためのプリム・クールの延長を発表 ・ルクセンブルク証券取引所、70億米ドル相当のカタール国債上場を認可したと発表 25日 ル・コティディアン紙、ヴィズラー持続的成長・インフラストラクチャー大臣の「12月のCOP15サミットでの合意は全ての国を関与させねばならない」との発言を報道 27日 ル・コティディアン紙、ルクセンブルク会計検査院による08年度決算検査報告について報じた記事で、予算執行とその業績を対比させることで、国民議会の統制をより深めたいとの同院の希望に言及 28日 ラ・ヴォワ紙、ドバイ信用不安問題に関し、金融監督委員会が当国所在の外銀子会社の本件関与は小さく万一のデフォルトリスクにも耐えうると明言したと報道 30日 ・当国の貨物航空会社カーゴルクス、経営状況の悪化を受け、株主再構成及び増資を発表 ・クレッケ経済・通商大臣、R&D・イノベーションの促進に関する09年6月5日の法律の説明会を開催 【12月】 1日 ・ルクセンブルガー・ヴォルト紙、天野IAEA事務局長の就任に関するDPAのキャリー記事を掲載し、「客観的で信頼性があり、プロフェッショナルな事務局長になるよう努める」旨の同事務局長の発言を報道 ・ヘット=ガーシュ観光大臣、09年の観光シーズンを総括。ルクセンブルクのホテル利用者は、対前年比8%減 3日 ・フリーデン財務大臣、現下の経済・財政状況を総括し、2010年予算案の大筋を説明 ・ING、ルクセンブルク、ベルギー両国の中小企業向けの貸出資金とするための1億ユーロの融資契約を欧州投資銀行と締結したと発表 7日 ・ヴィズラー持続的成長・インフラストラクチャー大臣、中、印は米国のように、他国と同じ船に乗らなければならないなどと発言(ル・コティディアン紙インタビュー記事) ・クレッケ経済・通商大臣、英、スウェーデン、デンマーク及びアイルランドの各大臣等と北海における風力発電開発に関する政治宣言に署名 8日 ディ・バルトロメオ保健大臣兼社会保障大臣、OECDの「09年保健の展望」について発表 10日 ・シャンク持続的成長・インフラストラクチャー担当大臣等、環境観測に関する第1回報告を発表し、自然保護に関する国家プランの現状を概観 ・銀行協会、金融センターの労働組合ALEBA等と10年の労使協定に署名したと発表 ・ルクセンブルク中央銀行メルシュ総裁、Luxembourg for Financeとのインタビューで「新たな財政再建措置が執られない限り、10、11両年の財政は95年以降最悪の水準に達すると予測」などと発言 11日 ・フリーデン財務大臣、ルクセンブルクでショイブレ独財務大臣と両国間の二重課税防止条約の改正議定書に署名 ・ルクセンブルク中央銀行、09年第3回マクロ経済報告を公表 18日 Luxembourg for Finance、マイクロファイナンス投資信託をラベル認定する当国団体Luxflagの正会員になったと発表 21日 ヴィズラー持続的成長・インフラストラクチャー大臣等、気候変動に関するCOP15サミットの結果を公表 25日 日、ルクセンブルク両国、二国間租税条約に係る改正議定書案及び交換公文案双方について基本合意 30日 ルクセンブルク証券取引所、株価指数LuxX構成銘柄の比率見直しを発表。アルセロール・ミタル社等3銘柄の比重がそれぞれ20%となる新比率は10年1月4日から適用
(4)大公室・社会 【10月】 7日 大公殿下、即位9周年 11日 大公殿下出席の下、国内で「国民連帯の記念日」関連式典挙行(注:第二次世界大戦の犠牲者を追悼し、また当国民による対独レジスタンスを記念して毎年開催される) 12日 バルトロメオ保健大臣、新型インフルエンザの国内感染者累計数が669名で、同月27日より国内で優先者から順次ワクチン接種を開始すると発表 【11月】 11日 ギヨーム皇太子殿下、28歳の誕生日 26日 長野県木島平村の青少年交流訪問団(中学生)、大公宮殿に於いてギヨーム皇太子殿下に謁見。前日にルクセンブルク商工会議所を視察 【12月】 3日 日本大使公邸に於いて平成21年度天皇誕生日レセプション開催。当地各界から約200名が出席。天皇陛下御在位20年及び天皇皇后両陛下御結婚満50年を慶賀 16日 第2次世界大戦中の「アルデンヌの戦い」65周年記念式典が国内各地で開催 24日 大公殿下、国民に向けた恒例のクリスマス・メッセージ
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