ルクセンブルクの立法手続

1.法案の形式的種類法案には次の二つの種類がある。
(1)大公(政府)提出法案「Projet de loi」
(2)(国民議会)議員提出法案「Proposition de loi」
 
2.法案の審議過程
(1)国民議会の委員会における審議に至るまで
大公(政府)提出法案か、(国民議会)議員提出法案かによって、国民議会の委員会において審議されるまでの過程は、次のように異なる。なお、法案は、原則として議会における審議の前に国家諮問院(コンセイユ・デタ)に諮られなければならない(国家諮問院設置法第2条)。
 
(注)国家諮問院は、大公(政府)及び議員が提出した法案及び当該法案の修正案に対して意見を述べる。さらに、法案以外でも、政府あるいは法律により付託された全ての問題に対する意見を述べる、と規定されている(憲法第83条の2)。(国家諮問院の詳細については、後述の「ルクセンブルク国民議会と諮問機関・憲法改正委員会」の項参照)
 
【政府提出法案】
閣議決定を経た後、国家諮問院に意見を求めるため提出される(注)。法案には通常、主管大臣による趣意書が添付される。
その後、国家諮問院より、同法案に対する意見、場合によっては対案が報告の形で政府側に示される。これを受け、政府は、当該法案を大公の名で国民議会に提出する裁可を求め、大公により裁可された法案は、主管大臣によって国民議会に提出される。
国民議会議長は、当該法案を委員会へ付託する。
 
(注)しかし、今日においては、政府は法案を国家諮問院に諮るのと同時に、国民議会に提出するか、又は国家諮問院が未だ意見を示さない段階で、国民議会に法案を提出することが多い。
 
【議員提出法案】
国民議会の委員会に付託されるまでに、次のような過程を踏む。
(1)議員より国民議会議長へ提出される。
(2)国民議会議長はこれを党首会議(Conferenece des Presidents)に付託する。
(3)党首会議は、当該法案が公序良俗に反しないかを審査する。
(4)審査の結果、問題なしとされた法案は、国家諮問院に提出される。
 
上記(4)に至るまでの段階においても、法案を提出した議員は、国民議会の公開セッションにおいて、法案の趣旨と背景・動機を説明することができ、更に最低5名の議員の支持がある場合には、当該法案についての議論も行われる(但し採決はない)。
国家諮問院からの回答を踏まえて、国民議会議長は法案を国民議会の委員会に付託する。
 
(2)国民議会の本会議における討論
それぞれの法案は、委員会からの報告を受け、国民議会の本会議に付される。
本会議において、法案の提出者(政府、議員)及び委員会関係者はそれぞれ意見を述べ、議員は議論に参加することができる。この段階で法案が修正されることもある。
 
3.法案の議決方法
(1)国民議会における全ての議決(resolution)は、投票の過半数によって成立する。賛否同数の時は否決とみなされる。
議会は議員の過半数の出席がなければ議決をなすことができない(以上、憲法第62条)。
議会は、指名点呼(注)により、法案全体について議決を行う。但し、5名以上の議員の要求があるときは、法案全体への議決に先立ち、条項ごとに議決が行われる(以上、同第65条)。
 
(注)押しボタン式投票、挙手又は発声による方法がとられる。
 
(2)ルクセンブルク国民議会においては、法案成立に至るまでに、同じ法案についての議決が2度行われる(注)。1回目の投票から2回目の投票の間には、3カ月間を置くこととされている(憲法第59条)。但し、国家諮問院の同意がある場合には、2回目の議決を省くことができる(同第59条)。
 
(注)国民議会で議決を2度行うのは、ルクセンブルク議会が1院制であることから、法案審議に慎重を期すため、と説明されている。
 
4.法律の発効
可決された法律は、大公がこれを裁可し、公布することにより発効する(憲法第34条)。