奥山大使の離任ご挨拶
令和4年9月15日

駐ルクセンブルク大使としての私の任期が終了するにあたり、ご挨拶を申し上げます。今後駐ヨルダン大使として新たな任期を迎えることになります。
令和2(2020)年2月に妻のとよ子と当国に着任しましてからこれまでいただきましたご厚誼とご協力に心から感謝申し上げます。着任後間もなく開催しました天皇誕生日祝賀レセプションがこれまで唯一本格的に開催したものになりましたが、その折のことを懐かしく思い起こしております。
それ以降コロナ禍制圧の努力の下、多くの公的な行事が取り止めとなり、アンリ大公殿下がテレビ演説で述べられたごとく「我々は団結することによってのみ打ち勝つことができる」という状況でありました。
コロナ禍に伴う諸制約は難しいものでありました。ハイレベルでの日・ルクセンブルク間の交流が実現に至らない状況の中で、私としては政府の感染対策措置を十分尊重しつつ両国間の政治・経済・文化の関係を発展させようと最大限の努力をしました。
令和3(2021)年の東京オリンピック・パラリンピック大会にあたっては、アンリ大公殿下とルクセンブルク・チームを日本に迎えることができました。日本からの企業関係者が渡航できない中で、当館は閣僚と当国駐在の日本企業代表者の会合を設定しました。コロナ禍はすべての活動を完全に停止させたわけではなく、我々にとって様々な創意工夫の機会となりました。
令和4(2022)年のICTスプリング・カンファレンスは日本の、特に宇宙関連分野のスタートアップ企業にとって実り多い機会となりました。日本の製造業も引き続き今後当国の持続可能な発展に寄与することを願っています。
日本は2025年の大阪・関西万博を主催することを非常に楽しみにしており、ルクセンブルクのパビリオン展示に大いに期待しています。
欧州文化首都エッシュ2022の多数の催し物を訪れた人々は、日本も積極的に参加していたことに気づかれたと思います。エッシュ2022は日本文化関連の行事や催し物にとって重要な機会となりました。また、国立自然史博物館の「自然の精神(Spirit of Shizen)」展は非常の多くの来館者があり、大盛況でした。国立ホテル・観光学校(ディーキルシュ所在)や他のフォーラムとの協力によってルクセンブルク人の味覚に日本食の魅力が広がることを期待しています。言語、観光、学生交流、マンガ/アニメのみではなく、生け花、茶道、盆栽、柔道・空手・合気道・剣道・弓道といった武道など日本の様々な側面に関心が高まっています。
今後の課題として、当館としてはレーミッシュ市の遊歩道に50本の日本桜(当地にて生育しているもの)と50本のルクセンブルクの桜を再植樹して、2027年の両国外交関係樹立100周年の記念行事としたいと考えています。
日本とルクセンブルク、また広くEUとの関係は、ロシアのウクライナ侵略を含む権威主義のすべての形態に対する闘いの地歩を築こうとする中でますます重要となっています。また、究極的に核兵器のない世界を築こうとする共同の努力も大切です。ルクセンブルクの63のコミューンが「平和首長会議」に参加していることに勇気づけられます。地域情勢への対応にあたって両国がお互いから学ぶことは多く、様々なレベルでの対話が必要です。
最後に、9月15日に私の駐ルクセンブルク大使の後任が発令となりました。松原正浩(まつばら・ただひろ)氏は、元東京海上日動火災保険株式会社の専務で、約40年にわたり広範なビジネスの経験を有する人物で、恵美夫人を帯同し着任します。私に対して2年7ヶ月にわたりいただきましたのと同様、ご指導ご鞭撻をいただきますようお願い申し上げます。
我々はルクセンブルクでの思い出を大切にしてまいります。ルクセンブルクには誰もがあたたかく迎えられていると感じる多様な文化の豊かさがあります。皆さまにこの地で会えたことは名誉なことであり、またお目にかかる機会を楽しみにしています。
末筆ではございますが、皆さまのご成功、ご健康とご多幸を祈念申し上げます。
令和4(2022)年9月15日
駐ルクセンブルク日本国大使
奥山爾朗
駐ルクセンブルク日本国大使
奥山爾朗